ケセランパサラン | ナノ
「失礼しまーす」
戸を叩いて開けたのは職員室。

「上杉先生は…」
キョロっとドアの前に貼ってある表で確認した"上杉"と書かれてある位置を確認すればぴょっこり耳みたいな頭巾がこちらを向いた。

「きてくれましたね、っと…おだひとりですか?」
「はい、相方休みだったんでひとりで来ました」
少し目を丸くした後、眉を下げた上杉先生。

「そうですか…しりょうをはこんでもらおうとおもっていたのですが…ちょっとまっていてくださいね。わたくしもいきますから」
珍しく手伝いを要求したからたぶん資料運びだろうとは思ったが、いつも軽いものだったりするので今回もそうだろうと高をくくって来たのだが…反応を見る限り、重いものなんだろうなと思う。






「おまたせしました。では、いきましょう」
「はい」
そう言って歩き始めた私と上杉先生だったが、資料室のドアを開けたところで「あぁ…」と上杉先生が呟いた


「すみません、おだ。わたくししょくいんしつにわすれものをしてしまったのでもてるものだけもってさきにきょうしつへいっていてください」
しりょうははいってすぐのつくえにまとめてありますから。…と再び職員室に戻っていく上杉先生を名無しは見送ったのだった


元々真面目な性格なのか、確かに言われた通りの場所に荷物はあった。
ちゃんとクラスまで書いてまとめてある。


とりあえず荷物を全部持ってみれば意外と大丈夫そうな気がした。


(荷物はない方がいいよね〜)

そう思い、ドアを閉めるのに少し苦労しながら(最終的に足で閉めた)名無しは教室への道を辿った











…そして名無しは階段にて行き詰まることになる。


(どうしよう甘くみてた…今にもなんかズルッていきそう…)


重いけどまぁ平気だろうと余裕しゃくしゃくだった名無しは、短いはずの教室までの距離に嘆いていた。やはり重かったのだ。


(…一回置こう。絶対そのほうがいいに決まってる)

ぶちまけてしまう前に持ち方を変えてみようと、階段途中の踊場でかがんだ瞬間…、ズルッと上乗せてある荷物が滑った。


「あ…」

バランスをとりつつ、続いてくるだろう落下音に目を瞑れば…聞こえてきたのは「大丈夫か?」という声だった









(class roomまでだろ?ったく無理してんじゃねぇよ)
(あ、ごめん…けど政宗遅刻しちゃうからいいよ?)
(Ah?気にすんな。次サボる予定だからな)

090623




     


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