ケセランパサラン | ナノ
「二人共、準備はいい?」
「おう!」
「い…イエッサー」
父の日当日、店の中で丸く輪になる俺達。
名無しちゃんの呼び掛けに返事をしなかったらやっぱりバレて睨まれた


時刻は六時。手渡されたバスケットにはなんか袋詰めされた大量のマカロン


「えー、今年は、今返事が遅れた佐助隊員が加わった為、去年よりも多くのお父さんに感謝の気持ちを贈れることでしょう。パートさんたちもこんなに頑張ってくれました」
「去年みたく警察呼ばれかけたりなんかしないんだぜ!」
まるで今から重大な事を行います。というように話す名無し。
成実は成実で拳を握っていた


「さて、今年初チャレンジの佐助クン。目標というか意気込みをどうぞ!」
ズイッと手をマイク代わりにして差し出される


「え、言わなきゃダメなの…?」
「うん!さぁ!」
えー…と面倒くさそうな顔をする佐助に成実が「『とりあえず頑張る』とか言っとけばいいじゃん」と口を出す


「じゃあそれで」
「愛が足りないけどまぁいっか」
今出てきた『愛』という単語は決してザビー教に洗脳されたからというわけでなく、父の日のお父さんに対する愛だということをわかっていてもらいたい





「うし、じゃあ準備も整ったことだし、行きますか!」
「ィエーーィ!!」
「…いえーい」
「「「行ってきまーす!!」」」


その掛け声と共に、お店のパートさんたちに見送られながら、俺達は薄暗くなった外へと飛び出して行ったのだった







(やっぱ駅だよね!)
(おぅ!じゃあまた後でな!)
(え、ひとりずつ!?)
((当たり前じゃん。))
(やだ…誰かに見られたら恥ずかしくて死んじゃうかも…)

090617




     


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