こんにちは、いや、こんばんわ。
私は今、自分の部屋のベットにて被さっていた学ランと向き合っています。なんとなく正座で。
「失礼します」
一礼してからその学ランを手にとった。
「確か内側に名前欄が…、お、ちゃんと書いてある!」
ちょいと捲れば律義にも"風魔小太郎"と書かれていた。
「…かぜま…かざま?…んー、ふうま、でいいのかな?」
(何学年の人だろう…?)
あの場で半ちゃんに聞こうかと思ったのだが、いつもと同じ笑顔のはずなのに何故かとても怖かったので自分の家まで確かめずに持ち帰ったのだ
「名前書いてないの?」っと聞いてきたあの声もとても恐ろしかった。なんか後ろに黒いの見えたし
(明日、先生にでも聞こうっと)
どうにかなるよねー。と名無しは学ランをハンガーにかけてシュッシュッとファブ(ファブ〇ーズ)って眠りについた
―――
HRが終わり響くチャイムと同時に教室を出て行く先生を名無しは追いかけた。
「武田先生!」
「む?どうした?」
「あの、ふうま?小太郎って生徒知ってますか?」
「風魔のことか?知ってるもなにも同じクラスじゃろうが」
「…へ?」
お互いにキョトンとする二人。
「…いましたっけ?」
「確かに影は薄いが…ふむ、廊下から三列目の四番目の席じゃよ」
ヒントを貰えば丁度鳴り始めるチャイム。
「ヤベっ…じゃあ、ありがとうございました!」
教室に向かって走れば「赤髪で顔が見えにくい子じゃー」と忘れてたと言わんばかりに叫ばれた
それに「はーい」と返事をして名無しは教室に入っていった。
…授業中取り出したのは席替え時の座席表。
確かに存在する"風魔小太郎"の名前。
…そして今だからわかる黒の中に混ざっている白。
(なんで気付かなかったんだろう…てか、流石にまだ寒そうに見える…)
とりあえず名無しは次の休み時間にちゃんと返そうと静かに誓ったのだった
(あ、あの、風魔さん!これ…ありがとうございました!)
(!!)
((………))
(そ、それじゃ…)
(コクリ)
(名無しちゃん風魔の旦那となんかあったの?)
(え、佐助知り合い…?)
(ん?うん)
090616
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