(今日は絶好のサボリ日和だよねぇ♪)
昼食も食べ終わり、みんなとバイバイした後、「ちょっとお腹痛いかも…ちょっと保健室よってから行くね」と佐助に嘘をつき「一緒に行こうか?」「ううん大丈夫」のやりとりをして名無しはスタコラと怪しまれないうちにその場から逃げたのだった
(光秀兄ぃに会わなかったのは奇跡だったなぁ!)
んーっ!と伸びをして名無しは裏庭の木の下にごろりと横になる
(ぽかぽかやぁ…)
目を瞑れば名無しはそのままスヤスヤと優しいまどろみに落ちて行くのだった。
―――
風魔小太郎は五限目終了のチャイムで目が覚めた。
本当ならばちゃんと授業を受けている予定だったのだが、自分のいる木の下にひとりの女生徒が居座ってしまったため、驚かせたら悪いという気持ちもあり、小太郎は降りるに降りられなくなってしまったのだ
そんな小太郎を嘲笑うかのように…まだ夏前の暖かい日差しは、最近一段といびきの激しい祖父、氏政によって睡眠不足の小太郎を…眠りへと誘ったのであった
下を見ればまだ眠り続けている女生徒。
真面目な小太郎は流石に六限目までサボる気はないので極力音を立てないようにスタッと木から降りた
チラリとその女生徒を見れば自分には気づかず、スヤスヤと寝息をたてている
(良かった…)
この間は近くに猫がいたことに気付かず、地面に降りた際に思いっきり警戒されて逃げられてしまったのだ。
…いつも餌をあげている猫だった。
あれから姿を見ていない。
小太郎の精神的ショックは大きかった
…まぁ、人と猫を一緒にするなという話だが…
小太郎が教室に戻ろうと歩き出そうとすれば、それと同時に冷たい風が吹いた
(最近の天気はよくわからない…)
足を止め、風の吹いてきた方向を眺めていれば耳に入ってきた「んっ…」とゆう寝ぼけ声。
ハッと身構えた小太郎だったが、彼女はブルッと震え寝返りをうっただけだった。
腰にセーターを巻いているが、肝心の上はYシャツだけなので少し寒そうに見える。
小太郎は少し考えた後、自分の着ている学ランの上着を脱いで彼女に被せたのだった
そこでハタッと彼女の正体に気がついた
(…じいちゃんの家によく来る人だ…確か名前は…)
「!!」
そこまで考えて六限目のチャイムが鳴りだした
一瞬で消えた風魔小太郎。
チャイムが鳴り終わる頃にはすでに席についていたとか…
(名無し…五、六限いないと思ったら…)
(んっ…げ、半ちゃんっ!?っと、え?)
(…どうしたんだいその上着?)
(わ、わかんない…)
090615