「んっ、あぁっ…!」



ギシギシと音を立ててベットに横たわるのは化粧の濃くて香水臭い派手な女。



近付いてきた女を適当に引き寄せては今日も夜を共にしていた。



目の前ので下品に感じているのはろくに名前も覚えてないような女。




「あぁっっ!!」



ひとしきり大きな声で喘げば女は絶頂に達した。



情事が終わったあとの甘い空気になるわけでもなく、余韻に浸ることもなく近くに脱ぎ捨てた服を着れば俺は出口に向かった。



「高杉さん?」


俺の名を呼ぶ女を一度横目で見た。




「じゃあな。」


「ちょっと…!高杉さん!?」


バタン



女の引き止める言葉を無視して扉から外に出れば俺の口からは溜息が一つ。




愛だの恋だのくだらねェ。


女なんて誰だって一緒だろ。



寄ってくる女は皆、俺の外見や地位、もしくは金目当ての様なくだらない奴ばかりだ。





『退屈でつまらなそうって思った。』





ふと思い出したのはクラブの店員の女。


嘘偽りない顔で俺を見て言った言葉。




確かに、退屈でつまらねェよ。




…うぜェ女。



だけど、初めてそれを指摘してきた女。





『最ッッ低!!』




クク、たかがキス一つに動揺なんざちょっと酸っぺェんじゃねぇの?



痛みなんてとうに引いた頬を片手で撫でながら俺は出口に停めていた車に乗り込む。




「お帰りなさいませ、高杉様。」




ドライバーの言葉に頷いてから次の行き先を告げた。



そこまで言うなら、



楽しくしてもらおうじゃねェか。



俺を侮辱した責任はとってもらうぜ?








 
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