『んっ…』



目を覚ませば、辺りは薄暗い


…ここは、倉庫?


薬のせいか、頭がズキズキして視界が歪んでしまう


手首が縛られていて、私は身動きが取れない


外そうともがいてもびくともしない紐


紐が食い込んできてちょっと痛い



「やっと気付いたか」



目を覚ました私の前に歩いてきたのは、明らかにアッチ系の恐そうな男の人達



『誰…?』



全員を見ても知り合いなんて一人も見当たらない


っていうか私の知り合いにこんな恐そうな人達はいない



「悪いな、高杉を呼び出すためにあんたを利用させてもらったよ」



目の前の下っ端っぽい男が私に視線を合わせてしゃがみ込む。


晋助を呼び出すために…?

『私を?』


「おう、まぁ俺はあんたに危害を加えるつもりはないからな」


回りには聞こえない位の私だけに聞こえる声でそう言ってからニッコリ笑った下っ端


「ただ、これはボスの命令だから……悪いけど少しの間我慢しててな?」


あれ?この人はいい人…?

私がコクンと頷けば、下っ端はまた優しく笑う



『っていうか、何で私?』


晋助を呼び出すなら私じゃなくていつも晋助の隣にいるあの綺麗な人にするべきじゃ…


いや、別にあの人をさらえって言ってる訳じゃないけど


でも絶対にその方が晋助は助けに来ると思う



「あんた、高杉の女だろ?」


『はぁ!?』



まるで当たり前の如く私に確かめるように言う



『や、全然違うんですけど、人違いじゃないですか?』


「いやいや、あんたで絶対に合ってるはずだ」



何その自信、ってかこの人私の話なんてちっとも聞いちゃいない



『だからっ…!人違、』








「テメェら、人質と無駄口叩いてんじゃねェよ」



私の言葉を遮って突然聞こえた低い声に、その場全員の表情が凍りつく


声の元を辿れば、偉そうにこっちに向かって来る男の姿



ドゴォ…!!



『なっ…!』



その男は、私の目の前にいた下っ端を戸惑いもなく蹴り飛ばした



『あんた!何してんのよッ!!』


「あァ?」



いくら下っ端とはいえ、突然蹴り飛ばすなんてひど過ぎる


この下っ端いい人なのにっ…!



『どんだけ偉いか私は知らないけどねぇッ!自分勝手にも程があ…』



ふと男の後ろに飛ばされた下っ端に気付く


下っ端の"俺は大丈夫だから"っていうジェスチャーに人差し指を口元に一生懸命当てる姿を私に送ってる


…黙ってろって事?




『…痛ッ!!』



そのメッセージに気付いたときには遅くて、私は目の前の男に髪を捕まれていた







 
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