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『っん…はっ…』
突然唇を塞がれて、求める空気がうまく流れ込んで来ない。
朦朧とする意識の中、私の前には大嫌いな奴。
離れようと一生懸命身体を押してみるも男女の力の差か、びくともしない。
息がうまく出来ない私の目には苦しさを表すかのような涙が滲む。
『やっ…』
押さえ付けられた両手首を離そうともがいても、力は強くなる一方。
ドンッ
『ぷはっ、離せバカ!!』
隙をついておもいきり目の前の男を押してやっと離れた身体。
捕まれた手首が少しだけ痛い。
『な、にすんのよ!!』
「ククッ、強情な奴。」
涙の滲む瞳で睨んでみたものの、こいつはやっぱり楽しそうに私を見る。
『最低。』
「だから?」
余裕な態度に私の怒りの熱が上がる。
『近寄らないで変態。』
「…上等じゃねェか。」
腹が立つ。
っていうか悔しい。
『やだ。』
「あ?」
こんな無理矢理なんて嫌だ。
『あんたは平気かもしれないけど私は、好きな人じゃないと嫌だ。』
愛がないのに、キスなんてしたくない。
本気じゃないのにキスするなんて、こんなやつ大っ嫌い。
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