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『んぅ…』
いつもと違う枕の感触に目を覚ます。
手元の携帯に手を伸ばして時刻を見ればバイトギリギリの時間。
『やばっ!…あれ?』
急いで起き上がろうとすればお腹には暖かい感触。
そしてゴツゴツした男の人特有の腕。
え?
ちょっと待てよ…?
腕を辿って顔だけ振り返れば後ろにいたのはまさかの高杉晋助。
ってえェェェェエエ!?
あれ!?なんで私この人と同じベットで寝てるの!?
…一応衣服を確認してみたけど服は着てるから大丈夫だけど。
あ、そうだ。
私こいつの家に来てたんだった。
帰ろうと思ってたのにふかふかベットにやられていつの間にか寝ちゃったんだ。
体ごと振り返れば目の前には高杉晋助の顔。
っていうか、本当良い顔してるなぁ。睫毛長っ!…少し分けてほしいくらいだよ本当。
見れば見る程…うん、カッコイイ。
『っと、時間!』
穴が開くんじゃないかってくらい見つめていたけど、ふとバイトの時間が目前に迫っていることを思い出して急いでベットから抜そうとした。
のに抜け出せない。
『あ、あれ?』
抱きしめられてる腕が離れない。
「…勝手に帰ろうとしてんじゃねェ。」
再度振り返れば寝ていたはずの高杉さんと目があった。
『あの、もうじきバイトの時間なので離していただけませんか?』
「……。」
話し掛けたのに返事がない。
あれ?もしかして寝ぼけてる?
『あの、』
「……。」
『あれ?聞いてる?』
「…うるせー」
うるせーって…
お前は反抗期の中2か!!
そんなこと言って遅刻してももうお母さん知りませんからね!お母さんは起こしましたからね!
ってイライラしすぎてまさかのお母さん出て来ちゃったよ!!
これなかなか起きない中二の息子を朝起こすときのお母さんのセリフだよ!
って違う違う!
違うでしょ私!!
『あの、高杉さん?』
いつまでもこうしちゃいられないと思い高杉さんの名を呼ぶと高杉さんは突然私を睨んだ。
『ってえぇ!?』
なんで私物凄い勢いで睨まれてるの!?
「テメェ…!」
『な、何!?』
私なんか怒らせる事した!?
全っっ然身に覚えがないんですけど!!
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