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『ん、…あ、れ?』
不意に目をさませば、目の前には既に起きていた晋助がいた。
ベットの上に胡座をかき、その手にはいつも読んでる難しそうな新聞紙。
『晋助、起きてたの?』
…珍しい。いつもなら新聞はリビングで読んでいるはずなのに。
『ずっと、ここにいたの?』
首をかしげる私に、晋助は視線をそらし、あぁ、と短く返事をして再び新聞を読みだした。
そんな晋助を尻目に、私は起き上がってググッと大きな伸びをする。
そして天井に伸ばしたままの手を目の前に下ろし、深々と頭も一緒に下げた。
『おはようございます。昨夜もこの素晴らしいお布団を使わせていただきありがとうございます。』
「ん、一生かけて感謝しやがれ。」
まるで土下座のような体勢の私に、偉そうな晋助の姿。
くっそぅ…!感謝はしてる。…してるが!偉そうに返されると無性に悔しいぞコノヤロー!
いつか私もこれくらいの良いお布団買ってやるんだから!(いつになるか見当もつかないけど)
なんて世話になってる身が生意気なこと言えるわけもなく、私は大人しく黙っていた。
チラリと時計を見れば、いつもよりも30分くらい早いみたい。
え、なんだ。こんな朝早くだったのか。だったらまだ寝れんじゃん!
体勢を建て直し再びもぞもぞと布団に入り込む。
あぁ暖かい。ドラさんとこののびちゃんじゃないけど、今なら3秒で夢のなかにいける気がする。所謂おやすみ3秒ってやつだな、うん。
「お前、仕事は?」
と、うとうとし始めた私に空気も読めずに声をかけたのは隣の晋助。
新聞から目をそらしたその顔はまさに怪訝である。
『今日はお昼は休みだよー。』
そうなんです。なんと今日は待ちに待ったお休みの日なんです。
って言っても夜からの仕事は今日も入ってるんだけど。
でもやっぱりゆっくりできる時間があるって言うのは幸せなことだ。
思い返せばこの数日間。
家が壊れても休まずに出勤した私って偉いと思う!
…いや、休んだら給料減るからこれくらいで休むなんてあり得ない話なんだけどね。
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