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『ん…』
あ、れ?私いつの間にか寝てたのかな。
ふと気がつけば、私の身体はふかふかの感覚に包まれていた。
…もしかして、ベッド?
だけどここで寝はじめた記憶もなければ、ベッドに移動した記憶もない。
なんだか訳が分からなくて不意に身をよじれば、傍らに暖かな温もり。
『晋、助…?』
そこには、先程までいなかったはずの晋助がいた。
そうか、暖かかったのは晋助がいたからか。
『おかえり。』
寝ぼけ眼でにへっと笑えば、晋助は私の頬をつまんだ。
『いひゃい…。』
「なんで、ちゃんとベッドで寝てねェんだよ。」
不機嫌そうなその顔に私は困ったように笑い返した。
『晋助が帰ってくるの、待ってたかったんだもん。』
晋助の為、とかそんなんじゃなくてただ私が勝手に待ってただけ。
疲れて帰ってきて、おかえりなさいって聞こえないのとか、出迎えがないなんて寂しいかなって。
…って結局寝てた上に疲れて帰ってきた晋助に運ばれてたんじゃ意味がないんだけどね。
『寝ちゃって、ごめんね。』
「……バカか、テメェは。」
困った顔のまま笑えば、晋助は私をギュッと強く抱きしめた。
首筋に顔を埋めたまま晋助は動かない。
『…どうしたの?』
「………。」
声をかけても返ってこない答えに、どうしたら良いのか分からなくなってしまう。
『仕事、疲れちゃった?』
抱きしめられたまま、空いている手で晋助の頭をゆっくりとなでた。
本当に、どうした事か。
やっぱり疲れているのか晋助は無言のまま。
『しんす、』
「なんで、今更なんだよ。」
『……?』
不意に言葉を吐き出した晋助。
私はその意味が分からなくて首を傾げてしまう。
「…こんな、俺は……」
『………晋助?』
止まってしまった言葉を不審に思い、晋助を覗き込めば晋助はスーッと定期的に呼吸をしていて、意識を手放していた。
いつの間にか、眠っていたみたい。
『どうしたもんかな…。』
何を、言おうとしてたのは分からないけれど
きっと晋助にとっては大事な事なんだろう。
『大丈夫、だよ。』
根拠なんてないけれど、今の私にはこれしか言えない。
安心させるように、再度頭を撫でれば、抱きしめる力が少しだけ強くなった様な気がした。
君のためにできる事
私には
なにができますか?
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