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『おじゃま、します。』
つい先日来たばかりのここは、あの時と何も変わっていなかった。
って当たり前か、来てから数日しかたってないんだから。
っていうか本当、いつ見ても綺麗というか高級というか。
そもそも一体ここ家賃いくらなんだよ。そもそもこんなバカ高そうなとこ賃貸なのか?
うわ、あれ名前忘れたけどナントカっていう高級家具だ。……売ったらいくらになるんだろ。
なんて貧乏感丸出しなことを考えながら目の前の皮張りのソファーに腰を下ろした。
あ、
『そ、そういえば私はどこで寝るのでしょうか?』
インテリアに見とれてしまい、重要なことをすっかり忘れてしまっていた。
『居候の身ですので全然廊下でも構わないのですが…。』
「あ?俺のベッドに決まってんだろ。」
『…マジですか?』
「マジだ。大マジに決まってんだろ。」
なんてこった、1週間晋助と同じ布団で夜を越すなんて。
まぁ、正直あのフカフカお布団で寝れるっていう条件は捨て難いところもあったりするけど。
『拒否権は?』
「んなもんねェ。」
『ですよねぇ…。』
どうやら、私の居候暮らしは初日から前途多難なようです。
わたしの帰る場所
大丈夫
どうやら私は
もう少し頑張れるみたいだから
「礼なら身体で払ってもらうから心配すんな。」
晋助の吐き出した言葉に固まってしまう。
当の本人は至って真面目な顔。
『……は?何言ってっ…!』
「とりあえず飯。」
『へ?』
ご、ご飯?今から?これは私が作るって事でとらえて良いんだろうか?
「早く飯作れよ。奴隷のように働いてこの俺様に感謝しやがれ。」
『…もしかして、身体で払うってそういう事?』
「当たり前だろ。何期待してんだよ。」
『っ!紛らわしい言い方しないでよ!期待なんかする訳ないでしょ!ニヤニヤすんなバカ!』
目の前の晋助が最上級にニヤついた顔で私を見てくる。
うわ、非常に腹立つんですけどあの顔。
あんな奴に一本取られたようでものすごく悔しい。
『……いつか絶対に仕返ししてやる。』
「はッ、この俺がテメェなんぞにやられる訳ねぇだろ。」
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