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『…と、言う訳なんです。』
銀時さんは今来たばかりのようで、先程の出来事を知らないようだった。
そこに現れた銀時さんに、今までのいきさつを話した。
「へェ、高杉と土方がねェ…。」
銀時さんも土方さんを知ってたけど、晋助のように敵対心はないみたい。
『なんで、こんなことになってしまったんでしょうか…ね。』
私はどうしたらいいか分からなくて銀時さんに首を傾げれば、銀時さんは困ったように苦笑いをした。
そして私とカチリと視線を合わせて、「あいつらさ、お互いに不器用すぎるんだよ。」と大きく息を吐き出したした。
銀時さんの言ってる意味がイマイチ分からなくて、うまく反応が出来ない。
「土方さ、昔、好きな人がいたんだ。」
『好きな人…ですか?』
"いた"、と言うことは、今は好きではないのだろうか?
「うん。で、あいつ好きな癖に言い訳してその人から逃げてたんだ。両思いだったのに、本当に馬鹿だよな。」
ぽつりぽつりと呟くように語る銀時さんに私も黙って頷く。
「そしたらさ、
彼女死んじゃった。」
ドクリと、鷲掴みにされたように心臓が痛んだ。
「なーんにも伝えられないまま、終わっちゃった。…分かってたのにな、明日が来る保証なんてどこにも無い事。」
悲しそうに笑う銀時さんが見れなくて、唇を噛み締めて顔を俯かせた。
私も知ってる。大事な人が突然いなくなってしまう悲しみ。
私も、大事なことを言えないまま両親を失ってしまったから。
「だからさ、あいつは女を物のように扱う高杉が昔から許せねェって訳なんよ。」
俯く私を気遣う様に明るく振る舞う銀時さん。
「だけどさ、高杉も辛い思い結構してるからさ。」
『え…?』
「あいつが心から自由になるには、障害が多過ぎる。」
それは、どういう意味なんだろう…?
銀時さんの吐き出す言葉の意図が分からないけれど、なんだか聞いてはいけない気がしてしまう。
それはきっと、晋助の問題で、晋助の心の闇だと思うから。
だから私なんかが軽々しく、ましてや本人以外の誰かの口から聞いちゃいけないんだ。
「だから高杉は高杉で、気持ちに真っ直ぐな土方が気に入らない、って訳なのよ。」
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