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『……そうやってすぐに殴るなんてひどい人だね。』
「あァ?」
私の頬を見て飛び出した土方さんはきっと、私がここに来る前に晋助に怒ったのかもしれない。
だけど、そんなことで手を出すなんてひど過ぎる。
「テメェには関係ねェだろ。」
『関係なくなんてないッ!』
関係なくなんてない。
土方さんは私の先輩だもん。それに、晋助とだって、もう他人じゃない…って私は思ってるから。
出会った頃よりは少しだけでも仲良くなれた気がしてるから。
だから、関係ないなんて言って欲しくない。
『土方さんは私の為にッ』
「そっちの肩を持つってか?」
『は?』
晋助の言ってる意味が分からなくて私は晋助を見た。
ガンッ!!
『っ!』
「もういい、勝手にしろ。」
それと同時に晋助は近くのテーブルを思い切り蹴り飛ばした後、吐き捨てるように私に言った。
「勘違いすんなよ。俺は、テメェなんて何とも思ってねェんだよ。」
本当に、晋助が知らない人のように見えた。
晋助は「胸糞悪ィ、帰る。」と盛大に舌打ちをした後に私に背を向ける。
そして何も言い返さない私を最後に一度睨みつけてから、晋助は隣の女の人の腕を掴んで一緒に出て行ってしまった。
去り際に振り返った女の人は、私を見て"ざまあみろ"と言わんばかりにほくそ笑んでいた。
私は下を向いて更に強く掌を握りしめた。
『晋助なんて……大っ嫌いッ…!!』
擦れ違いは暗闇の第一歩
どうして私は
こんなにも泣きそうなんだろう
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