「つーか邪魔して悪いんだけどさ、」


ビクッ!!


「っ!」

『っ!!!』



いつの間にか私の真横には銀時さんの姿。


び、びっくりしたぁ…

お願いだからもうちょっとわかりやすく登場してくれたらいいのに…



「名前ちゃん。」


『は、はい!っ!』


銀時さんの手が伸びてきて私の顎を掬う。


殴られた方を見るようにして顔を傾けた。


腫れた頬を見て顔を歪めた銀時さんの顔が視界に入る。

そういえば、私殴られたんだった。

思い出したら痛くなってきたような…



「こりゃ、しばらく引かねぇんじゃねェ?」


『え、マジですか?』


「とりあえず、病院行こっか。」


『……や、痛くないから大丈夫です。』


本当はものっそい痛いけど病院なんてとんでもない!!

ただでさえ貧乏なのに、病院代なんて払ったら私きっと明日から生きていけない…気がする。


それに明日からも遠慮ないくらいにギッシリとバイトが詰まってるのに…

休んだりなんかしたら絶対に心配されちゃう。



「後は?」


『へ?』



今まで黙っていた晋助が口を開く。


…後?あ、そういえばお腹も殴られたんだった。


『……別に。』


別に見えないから大丈夫でしょ。

大袈裟に騒がれたくないしお腹の事は内緒にしておこう。


「正直に言えよ。」


『だから別になんも、』


「また前みたいに無理矢理されてェか?」


『なっ…!!』



驚いて顔をあげれば、ニヒルに笑う晋助の顔。


前みたいにって……

あの名前呼ばせた時の事……!?


「え?前みたいにって何!?銀さんそれ知らないんですけど!!」


「ほら、言えよ。」


『…言わないとダメ?』


「…あれ?銀さんの存在シカトですか?」


どうしよう、言いたくない。

っていうかそもそもお腹なんて言いたくない。


目の前で銀時さんが「お願いだから無視しないで、寂しいから」とか言ってるけど今の私には構ってあげる余裕なんてないです。


「どうしても言わねェってんなら……」


『わわわわ分かった!言うから!!』


ジリジリと近付いてくる晋助に思わず叫ぶ。

本気だ…!!あの顔は本気でやる顔だった…!!


分かったよ!分かったからそんなに睨まないでよ!



『……お腹。』


「見せろ。」


『ぎゃっ!何すんのバカ!』






 
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