「女ァ、この俺に盾突くなんざ随分と威勢が良いじゃねェか…」



捕まれた髪が痛くて顔が歪む


男はそのまま私を倒れている下っ端のところまで引きずる



「テメェ人質に向かってなにやってんだよ…!」


「ぐはっ…!!」


さっきのジェスチャーがバレていたのか、男は下っ端に向かってまた蹴りを食らわせる


回りの人達も、青ざめた顔でそれを見つめるばかりで誰も男を止めようとしない


何度も暴行していくうちに、下っ端の意識が途絶えてしまった


それでも男は緩めることなく蹴りつづける



ちょっと…!いくらなんでもやばいんじゃ…!


あの人死んじゃう…!!





『いい加減離してよ!この卑怯者ッ!』


「あァ!?」



男の意識が私に向けば良いんだ


そう気付いた時には大声で叫んでいて男が私を睨む



『こうやって誰かを人質にとらなくちゃ晋助に相手にされないなんて本当あんたって情けない男!』


「テメェ…!!」



もっと、もっと私にイラついて下っ端から意識が私に向けば良い…!



『晋助1人に対してこんな大人数用意して、人質まで取るなんてよっぽど晋助が恐いのね!!情けない上に臆病者なんだね!!』





バチンッ!!


『っ!!!』


「調子乗るなよテメェ…!」



一瞬時が止まり、頬がすごく痛くなってやっと自分が叩かれた事に気付く


目の前には私を睨みつける男


頬が凄く痛くて熱い


身体が震えて凄く怖い


でも、絶対にこんな奴の前で泣きたくない…!!




「まぁ、とりあえず用があるのは高杉だから」


『晋助が私の為に来る訳無い!』


「来ないなら来ないで、こっちでたっぷり楽しんでやるよ」



ニタリと気持ち悪く笑った男が私の顎を掬う



『触んないでよ…!!ぐはっ…!』


「その威勢はいつまで続くかなァ?」



思い切り腹を殴られて思わず意識が飛びかける


そして私に伸ばしてきた男の手が目の前でピタリと止まる



「そうか…」


『……?』



嫌がる私をみて男が何かを思い付いたように呟く



「高杉が来るまえに、テメェをヤっちまうのも悪かねェな」


『なっ…!!』



そういうと男は私を縛ったまま奥に引きずりだした


吐き気がする、気持ち悪い


触られたところから、身体中に虫ずが走る



『離してよッ!』



ズルズルと引きずられる身体


男の力にまったく敵わなくて、ついに私の服に手がかけられた



『触らないでッ…!!』





もう、ダメッ……!!!!







ドゴォンッ!!




『っ!!!』


「なんだッ!?」


諦めかけたその時、物凄い音が倉庫内に響き渡り辺りは騒然とする





なんで



絶対来ないと思ってたのに



来たら危ないのに



私なんて放っておけば良かったのに





私の視線の先には



晋助が立っていた





イケニエとヒーロー



見えた光が眩しくて

視界がぼやけてしまう









 
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