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私の言葉に突然立ち上がった晋助。
『な、なによ。』
っていうか、顔近いんですけど!
「俺も帰ェるから。」
『は?』
腕を捕まれたと思えば、晋助の口から飛び出した爆弾発言。
「はァ!?なら俺も名前ちゃんと帰るから!」
目を丸くして驚いた坂田さんが立ち上がった。
『いやいやいやいや、あなたたちとは帰りませんからね。帰りたいならどうぞお二人で帰ってください。』
「え?二人って銀さんと名前ちゃん?」
「ふざけんなよ、銀時。」
私の目の前で睨み合う二人にため息が出る。
あああ、この人達本当面倒臭い。
『じゃ、お疲れ様です。』
「ちょっ…!名前ちゃん!?」
「テメッ…!」
挨拶を告げ足早に人混みに紛れて二人から離れた。
付き合ってられないよ、うん。
去っていく名前の背中を見ていたけど、しばらくすれば人混みに紛れて消えてしまった。
まぁいいか、俺らの方が外出るの早いだろうし
あいつが出て来んの待ってりゃ良いだろ。
グイッ
出口に向かおうと歩き出せば、捕まれた腕。
それに振り返れば名前も知らないような女。
「高杉さん、帰らないよね?」
すがるように腕に巻き付く女。
『ふれるだけでも伝わるものがあるんだから。』
ふと思い出したこの間の名前の言葉。
あいつには反応したのに、この女からは何も感じない。
ふと銀時を見ればあっちも女に囲まれている。
俺よりも数倍うまくかわしてる様だけど。
とりあえず腕に絡み付くこの女が気持ち悪ィ。
「離せ。」
「いやですっ!」
上目遣いで見上げる女に吐き気がする。
健気な自分が可愛いとでも思ってんのか?
「なァ、」
女の顎を掬い上げ、顔を近づければ、直ぐさま紅潮する女の顔。
「高杉さ」
「お前が今すぐに俺から離れるのと、俺を怒らせて痛い目見んのと、どっちがいいか選ばせてやるよ。」
俺の言葉と同時に青ざめていく女の顔。
そして離れた身体。
「自分を大事にしてェなら、俺に近付かない方が身のためだぜ?」
女に向かってニヒルに笑い、俺は再び出口に向かって歩きだした。
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