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目の前には涙をためて俺を睨む名前の姿。
そういう姿が男を煽ってんのが分からねェのか。
「本当、酸っぺェのなお前。」
好きな人だなんて笑わせんな。
大抵の女はこうしてやれば喜んでんじゃねェかよ。
お前だってそうなんだろ?
「女って、そうやって甘い事ばっか言うよなァ。」
本当は、欲にまみれた汚い人間のクセに。
『…遊んでばっかりのあんたには分からないんだよ。』
「あァ?」
再び俺を睨む名前。
テメェに何が分かるっつーんだよ。
『…エッチなことしなくたって、ふれるだけでも伝わるものがあるんだから。』
名前は俺を見上げてそう言った。
伝わるもの?
んなもんねェだろ。
女ってのは、キレイゴト抜かして裏じゃ笑ってんだろォが。
「なら、俺に証明してみせろよ。」
ふれるだけでも良いっていうなら
伝えてみろよ、俺に。
キレイゴトじゃないってみせてみせろよ。
『証、明…?』
俺の提案に名前の瞳が戸惑うように揺れる。
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