「やめないか二人とも。そちらのお嬢さん顔が真っ青になってるじゃないか。」



睨み合う二人に不意に声をかけたのは長髪のお兄さん。



「ヅラァ、邪魔すんじゃねェ。」


「ヅラじゃない、桂だ。」



長髪のお兄さんは間に入って二人をなだめている。



ふと気付けば銀時さんの手も離されてお腹に当たっていた腕の力も弱くなっていた。



逃げるなら今しかない…!!



ドンッ




『し、失礼しましたァァァァアア!!』



「あっ!テメェ!!」




そこから飛び出して脇目もふらず出口まで走る。



後ろで私を呼ぶ声が聞こえるけど振り返るわけにはいかない!!




そして私はなんとか地獄から抜けることに成功した。




ありがとう長髪のお兄さん!!
















「チッ…!」



せっかく俺がわざわざ呼んでやったっつーのに逃げやがって。



名前が飛び出して言った扉を見つめながら舌打ちをした。




「あーあ、逃げられちゃった。」



「ふふ、かわいそー。」



目の前で楽しそうに笑う銀時。


そしてその隣で銀時に絡み付くのはいつの間にか現れた見知らぬ女。




テメェがいなきゃ逃げられなかったっつーのに。




「テメェ、おちょくってんじゃねェぞ。」



睨みつければ銀時は俺を見て楽しそうに笑う。



こいつは一体何考えてやがんだ。



わざわざ俺を挑発するような事ばかり言いやがって。



「おちょくってねぇよ?」


「あァ?」



「本気だ、って言ったらどうする?」




俺を見つめて真剣な顔で、まるで挑発するような質問。



本気だァ?




「ククッ、テメェがか?」


見据えるように笑ってやれば、銀時はハァ、と一度ため息をついてから笑う。



「…嘘に決まってんだろ?本気になるわけねェっつーの。」


銀時はニヒルに笑い俺の肩に手を置いて横を通り過ぎた。




「やっぱりな。」




そんなことだろうと思った。



"俺達"は、女に本気にならねェもんな。




名前も、ただの暇つぶしだ。



あいつに手出すのは、楽しそうだから。



俺を拒否したことを後悔させてやる為だけだ。





女なんて、ただの玩具じゃねェか。













「と、言う割には二人とも随分とあのお嬢さんに執着していないか?」



今まで黙っていたヅラが首を傾げる。





「…別にー。」


通り過ぎようとしていた銀時もピタリと足を止めた。


「…気のせいだろ。」



執着なんてしてねェよ。



「ま、なんにしろ、名前ちゃんは俺が貰うけどなっ!」



銀時はニヤリと笑って俺を見下してきた。



「テメェふざけんなっ!!」



俺を差し置いてふざけたことをぬかす銀時。



テメェは隣のたいしたことねェ女で充分だっつーの!!










「…もう二人とも充分執着してるではないか。」


俺達を見て盛大にため息をつくヅラ。



「「執着なんてしてねェよっ!!」」






最悪なことに、銀時とハモった。








 
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