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『あ、の…』
「俺をあしらうなんてちょっと許せねェなァ。」
ニヤリと笑った彼に私は動けない。
『ちょっ…!』
更に腕を引っ張られれば彼の顔はもう目の前。
気付けば私と彼の唇は数センチ。
あれ?こんなこと前にもあったような…
これってデジャブ?
ってこのままじゃ…!
『やめっ』
グイッ
「銀時ィ、俺のもんに手ェ出してんじゃねェ。」
抵抗しようとした瞬間、お腹から急に後ろに引かれれば背中には暖かな温もり。
振り返れば高杉晋助がいた。
『っ!晋助!』
とっさに名前を呼んでしまえば高杉晋助は私を見下しながらニヤリと笑った。
あ、つい名前で呼んじゃった。
「晋助、ねェ…。つーか別にお前んじゃねェだろ。」
銀時と呼ばれた銀髪の彼は今だに私の手を離さない。
「こいつは俺のだ。」
今にも食ってかかりそうな勢いで二人は睨み合っていた。
『っていやいやいや!私は誰の物でもないですから!!』
さっきから聞いてれば何なのこの自分勝手な会話!
「何?晋助なんて名前で呼ばせちゃってそんなに名前ちゃんがお気に入り?」
「…テメェには関係ねェだろ。つーかいい加減手離しやがれ。」
晋助は今だに繋がれた手を睨みつける。
あれ?私の否定はシカトですか?
というか、私もいい加減この手を離してほしいです。
『ぎ、銀時さん!』
目で訴える私に銀時さんはニヤリと笑った。
「い・や・だ!つーか名前ちゃん!高杉を晋助って呼ぶなら俺も銀時って呼んでよ。あ、銀ちゃんでも良いけど。」
睨みつける晋助を余所に煽るような事を言う銀時さん。
ちょっ…!この人本当空気読めないんですけどォォオ…!!
「銀時テメェ…!」
振り返れば悪魔のような顔で睨みつける晋助の顔。
そしてお腹に当たる腕が死ぬんじゃないかってくらい強く締まる。
ひィィィィイ!!!!
死ぬ!!本当内臓飛び出るからこれ!!
『ちょっ、ちょっと待ってください!!』
私が止めれば二人一斉にこちらを見る。
『あの、落ち着いて、ね?』
首を傾げて見上げれば二人とも固まって私を見つめてきた。
『あ、あれ?』
急に固まってどうしちゃったの?
今だに動かない二人に私は少しだけ焦る。
晋助に限ってはほんのり頬が赤くなってるし。
「あー、やっぱ良いわ名前ちゃん。」
『は!?あ、ありがとうございます。』
なんだかよく分からないけど褒められたみたいだしとりあえずお礼を言っておこう。
『んっ…!』
「やっぱさ、俺にしない?」
突然銀時さんに顎を掬われれば私は銀時さんを見上げる形になる。
『うぐっ…!』
「テメェふざけんなよ…!」
ギリッとお腹に当たる腕に更に締められれば私の口から出てきたのは苦しみの声。
死ぬ!!マジで、死ぬ…!!
次こそ本当に内臓飛び出るから…!!
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