２
"VIP ROOM"
目の前にはそう書かれた扉。
その扉から放たれるオーラはやっぱり重々しかった。
うちのVIPルーム貸し切るなんてそうそう出来ることじゃないのに。
というか相当な大金を積まなくちゃこんな長時間借りられない。
って考えるとあいつはやっぱり凄い人？
なんて悶々と考えていたけどドリンクの事をハッと思い出した。
早く届けなくちゃ！
『……よし！』
気合いを入れて私は扉に手をかけた。
『失礼します。』
扉の向こうにはやっぱり凄い人数の人。
そしてやっぱり女の人が多い。
よし！このまま地味にサッと置いてパッと戻ろう！
『お待たせしました。』
誰にも気付かれないように気配を消してドリンクをテーブルに置いた。
よし、後は戻るだけ！
『失礼しました。』
誰も聞いてないような挨拶を投げ掛けて私はその場を離れた。
と、思ったのに。
「あ！名前ちゃん！」
ビックリするくらいの馬鹿でかい声で私の名前が呼ばれた。
『っ！？』
振り返れば何時だかの銀髪の彼。
うわ、出来ればこの人にも見つかりたくなかった。つーかそんなに大きな声で名前を叫ばないでください。恥ずかしいです。
「久しぶりだな！」
『はぁ、』
引き気味の私を余所に彼は傍にいた女性と離れ、どんどんと距離を縮めてくる。
彼と離れた女性は思いっ切り私を睨みつけてきた。
めちゃめちゃ恐いんですけど…！
そして彼はいつの間にか私の目の前まで来ていた。
「なァ、」
『な、何でしょう？』
覗き込むように私を見る銀髪の彼。
「名前ちゃんのバイトが終わったら俺と出掛けねェ？」
首を傾げるしぐさはまるで仔犬の様。
こんなところが女の人達にモテるんだろうな。
『や、遠慮しておきます。』
きっと他の人なら喜んでついていくんだろうけど、すいません私興味がないです。
というか今日も昼からバイトがあるのでそんな暇はないのです。
「ぶはっ！やっぱり良いわ名前ちゃん！」
一瞬も迷わずに即答した私を見ながら腹を抱えて笑い出した彼。
え？今のなにがそんなに楽しかったんだろ？
「でも名前ちゃん。」
『っ！きゃっ…！』
突然腕を引かれれば目の前には真顔になった彼の顔。
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