『ちょっと…、なんであんたが赤くなるのよ…。』



「う、うるせェ!こっち見んな!」



そう言って急に私から離れて顔を隠していた。


なんか、こっちまで恥ずかしくなってくるんですけど。


名前呼ばれるってそんなに嬉しいもんなのかな…?



っていうか、なんか可愛いんですけどあの人。





『って時間!やばい!』



ハッとして時計を見れば時間はもうバイトが始まる時間。



もう完全に遅刻決定だよ!急いで向かわなくちゃ!


一旦家に帰ろうと思ってたけど仕方ない、直接向かおう!!





『じゃ!私は帰るからね!』



離れた彼にそう告げて急いで扉に向かった。







ガクンッ



『うきゃっ!』



突然腕を捕まれて後ろを振り返れば高杉晋助。




「なァ、もう一回呼べよ。」



耳元で喋る声に体がゾクゾクした。


あれ?さっきの顔の赤い可愛いあなたはどこへ…?



そして奴の顔はわたしを見てニヤリと笑っていた。



あれ?もしかして私またピンチな感じ?





『…もう言わないから!!っていうかいい加減帰らせてェェェェエエ!!』





私の悲痛な叫びとは裏腹に後ろから楽しそうな笑い声が聞こえて、時間はどんどんと進んでいった。








僕の名前と甘い声



もっと聞かせて

もっと呼んで

君の声で

僕の存在価値を証明して






『ちょっと!近いんですけど!』


「あァ?テメェが誘ったんだろォが!」


『はぁ!?』

「あんな必死に何度も俺の名前呼びやがって。」


『なっ…!あれは防衛反応だから!誘ってないから!』


「はッ、そんなに照れんじゃねーよ。」


『……。』


 
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