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「あ?ここは俺ん家だ。つーか人に名前を聞くときゃまず自分から名乗れ。」
…何この人腹立つんですけど!!
元々あんたがこんなとこ連れて来たから興味もないあんたの名前なんて聞くはめになるんじゃん。
つーか俺ん家とかいって何でそんな偉そうなのよ!
俺ん家連れて来てやったぜみたいな顔しちゃってるけど私からしたらこれ誘拐ですから!!犯罪ですから!!
『…苗字名前です。』
なんて、心の中で爆発する怒りを目の前の男に当てられる訳もなく、しょんぼりしながら自己紹介をした私。
ああ、今更ながら小心者な自分をうらんでやりたい。
「名前、か。俺は高杉晋助。」
高杉晋助…?
なぁんかどっかで聞いたことあるような、ないような…
『ねぇ、』
「…あ?」
私が話し掛ければギシッと軋むベットに乗って近付いて来る眼帯男、もとい高杉晋助。
『いい加減家に帰してもらえませんか?』
高杉晋助は私の言葉にピタリと止まった。
いくら早上がりとは言え昼からは別のバイトが入ってるから少しでも寝なくちゃいけない。
だから正直こんなところで遊んでるヒマなんて私にはない。
「なァ、」
『…何よ。』
お構いなしにドンドンと近付いて来る高杉晋助。
ち、近い近い近い!近いんですけどォォオ!
私の両側に手をつかれれば、彼の顔はもう目の前。
「お前、俺とヤりたくないのか?」
『は?全然ありえないですけど。』
突然訳の分からないことを口走る高杉晋助に私もとりあえず即答しておいた。
いや、正直意味分からないんですけど。
確かに、高杉晋助の顔は整ってて世の女性も放っておかないだろうし、こんなにお金持ちなら尚更魅力的だけども。
でもそれとこれとは別の話でしょ!
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