『ちょっ…!やめてってば!』


脱がされかけた服を押さえて声を上げるけれど、目の前の晋助はまるで聞いてくれない。


…なんで、こんな事になっちゃったの?


いくら言葉をかけても一つも言葉を返してくれない晋助が他人のようで。


目の前の冷たい顔は、まるで出会った時の晋助の顔そのものだった。



『っ!』


不意に晋助が近付いてきて、首筋がチクリと痛む。


跡、つけられた?


『もう、本当に辞めてよ…。』


なんでだろう、胸が凄く痛い。


晋助の冷たい顔も首筋で感じた痛みも、晋助の周りにいる女の人たちと同じだと思い知らされるようで。


結局私は、"みんな"と同じだったんだろうか。


私は、ただただ、幸せを願っただけなのに。……晋助と、彼女の。


私がいなくなれば、彼女はもう泣くことない。


私という心配の種がなくなれば、晋助たちは幸せになれるはず。


なのに、晋助は笑ってくれない。


私が想像していた未来とは全部が違っている。




なんで、そんな顔するの?


なんで、そんな悲しそうな瞳で私を見るの?


 
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