お妙さんに"黒い卵焼き"をもらってから数日。


しばらく猫の姿のままうなされていたなまえはようやく"半人型"までに回復していた。


そして今日は、散歩に行きたいと言うなまえの意見と甘いものが食べたいと言う銀時の意見の間をとって、二人で甘味処に来ている。

ちなみに新八はお通ちゃんのライブに行き、神楽は少年野球の助っ人に出かけている。


『ぱへ?』

「ぱへじゃなくてパフェ。」

『それおいし?』

「おー。ほれ、そんなに気になるんなら食ってみろ。」


目の前に差し出されたスプーンを勢いよく食いつけば、口の中に広がった冷たくて甘い味。


『すごくおいしい!』

「だろー?これ銀さんの必需品。」

『しちゅじゅひん?』

「………。」


説明するのがめんどくさいのか、銀時は苦笑いでなまえの頭を撫でた。

何だか良く分からないがその間もなまえはマイペースに自分が頼んだおだんごを頬張った。



『あっ!』

「っ!突然大声出してなんだよ!?」

『悪者!』

「は?っておい!」


訳の分からぬ言葉を吐き出して突然何かに目掛けて走り出したなまえ。

そして、勢いよく誰かに飛びついて馬乗りになった。

「うぉっ!ね、猫耳!?」

『これ悪者だからダメッ!』


なまえが飛びついたのは、瞳孔が開いた男。

真撰組鬼の副長、土方十四郎だ。

そしてあろうことかなまえは土方がくわえていたタバコを素手で握り潰した。


「テメェッ…!何してんだ!!…てあ、れ?」


土方が急いでなまえの手を開けば、そこには無傷のキレイなままの手の平。


「お前、タバコ…消したよな?」

『タバコってこれ?』


なまえが差し出したのは火種がついていないタバコ。

確かに、素手で揉み消したはずなのに。

何度見てもなまえの手の平には傷一つ見当たらない。当の本人は涼しい顔のまま。


「お前、一体…」

「なまえ!」

『あ!銀ちゃ!』


怪訝な顔の土方の言葉を遮るように現れた銀時。

そして馬乗りという土方となまえの体勢を見て悲鳴をあげた。


「ぎゃああああ!ちょっと多串君!うちのなまえになんてことさせてるの!いやらしい!!」

「言っとくけど最初に突っ掛かってきたのはこいつだからなッ!」


土方がビシッと指さしたのは馬乗りになったままのなまえ。

そんな土方を見てなまえはキョトン顔。

そして銀時は一刻も早く土方から離したいというようになまえを抱え上げた。

そしてメッ!っとなまえに強めにデコピンをした。




 



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