ねこ、ぎじんか




「えェ!?なにこれ!?」


「ぼぼぼぼ僕は知りませんよ!!子供達がいない間に連れ込むなんて銀さんサイテー!!」



目撃した俺達二人が異常な位にキョドりまくる。


新八なんて目線がどっかイっちゃって様子がおかしい。



「いやいやいやいや!!俺知らないから!!むしろあんた誰!?」


『…??』


俺が勢いよく聞いても首を傾げるだけの女。



「だから!!あんたの名前!!」


『……。』


問い詰めるように聞けば女はしょんぼりしたように俯く。



「いや、別に責めてるわけじゃないんだよ?うん、とりあえずあんたが誰だか知りたいだけだから。」


覗き込むように見ればまた少し考えはじめる。


俺の真剣な顔と女の困った様子に新八もただ事じゃないと真顔になる。










『失敗作。』


「…は?」



女の発した言葉の意味が分からなくて聞き直す。



『失敗作って…呼ばれてた。』



失敗作って…



「違うよ、これは失敗作なの。」




ふと昨日のガキの言葉を思い出す。



もしかして…



いやそれはないだろ…



有り得ない有り得ないと思いながら、昨日猫を寝かせたタオルを見る。




そこには何もいない。



そして、目の前の女を見る。




女の腹には猫にあった傷と同様の真新しい傷。




「も、もしかして…昨日の猫?」


震える声で聞けば女は俺を見つめる。


コクン


「ギ、ギャァァァアアア!!」


「ちょ…!!銀さん!?」


女が頷いたと同時に状況を理解して再び叫んだ俺に新八が駆け寄る。




「新八…俺…猫…」


「銀さんしっかりしてください!!銀さんが猫なんて気持ち悪いだけです!!」


会話が噛み合ってないけどもうそんなこと気にしていられない。



どうすんだよこれ!


人間になるなんて聞いてねぇっての!







やっと落ち着きを取り戻した俺は新八と定春の散歩から帰ってきた神楽に事情を説明した。








「許せませんね。」

「そいつひどいアル!」


やっぱり二人はあのガキを怒る。うん、俺も相当腹立ったしね。




ふと今まで寝ていた布団を見ると女は気持ち良さそうに丸まって寝ていた。



ちなみに服は俺のを寝巻。


でかいけどこの際仕方ない。


着せるとき相当嫌がってたけど無理矢理着せた。




「どうするかなぁ…」


猫のままだったらここにおいても特に問題もない




だけど人間になるんだったら話は別。



最近仕事してなかった上にもともとギリギリの生活



もう一人増やすなんて相当のノリと覚悟がいるだろ。






でも、あんな怪我してんのに放っておく気はさらさら無い。




とりあえず、問題は目の前のこいつらにどうやって説得するか。







「なァ、あいつの事な」


「銀ちゃん!猫って豆パン食べるアルカ!?」


「は?」



和室で寝ているあいつを見ながらキラキラと目を輝かせる神楽の突然の質問に開いた口が塞がらない。


「く、食うんじゃねェの?」


猫っていっても、今は人間みたいだし。




「服は、姉上のいらなくなったのでも貰ってきましょうか?」


喜ぶ神楽の隣で新八が俺に問い掛けた。



「お、おぅ。」



つーかさ、




「お前らも、あいつの怪我が治るまで置いてやる気だったんだな。」




全員が考えてることが一緒だったなんて。




「僕たちが銀さんの考えてることが分からない訳ないじゃないですか!!」


「銀ちゃんの脳みそなんてお見通しネ!」





顔を上げれば、満面の笑みの二人。



さすが、というか何と言うか。


こいつらには敵わねェな。







「あ、そういえば名前はどうしましょうか…?」


新八の声にみんなで顔を合わせる。




さすがに、"失敗作"なんて呼びたくねぇしなァ。





にんげんって、なぁに?





 



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