わからない







そこに現れたのは、あの時の男の人でした。



『んっ!』

「よぉなまえ。元気だったか?」



突然現れたと思いきや、遠慮なしになまえの頭をグリグリと撫で回す。

それを見た銀時はなまえを引っ張りもう一度抱きしめた。


『うわっ!』

「なんでオメーがうちのなまえと知り合いなんよ?」

「別に旦那には関係ねぇでさァ。」


沖田の反応に、苛立つ銀時。

そしていつの間にか睨み合う二人に挟まれてたじたじのなまえ。


「なまえ。」

『っ、はいっ!』


普段聞き慣れない低い声で銀時に呼ばれ、思わずビクついてしまう。


「今後一切、あの黒い服着てる奴らと関わるの禁止。」


あの黒い服とは、真撰組の制服の事。

銀時は怒った様子でなまえを見ながら言った。


「返事は?」

『は、はいっ!』


やっぱりピリピリした銀ちゃは恐い!

怯えながらも頷けば、銀時は満足したようになまえの手を引いて歩きだそうとした。


「旦那ァ。」

「あ?」


そんな銀時を止めたのは今までのやり取りを聞いていた沖田。

そして、銀時に向かって口を開いた。



「……男の嫉妬、見苦しいですぜ。」



最上級の悪人顔でニヤリと笑えば、それを聞いた銀時が顔を引き攣らせた。



「だ、れ、が!嫉妬してるってぇ?」

「旦那でさァ。」

「はっはー!これは嫉妬なんじゃなくて親心なんですぅー!」

「親心?へぇ。じゃあ旦那はこれから一生なまえとあんなことやこんなことする予定はねェって事ですよね?」

「ばっ…!なっ!……はぁ?」

「……動揺しすぎでさァ、旦那ってば気持ち悪い。」


動揺する銀時を哀れみの目で見つめる沖田。

それを隠すかの様に真っ赤な顔でそっぽを向いた銀時。

小声で「ないないないない、いや絶対にないから」なんてブツブツと呟く銀時を見ながらなまえは首を傾げた。


『銀ちゃ!』

「あ?」

『あんなことやこんなことって何?』

「!!」


突然のなまえからの質問攻撃に銀時は軽くパニクってしまう。

当の沖田は楽しそうにニヤついている。


『あんなことやこんなことって楽しい事なの?何するの?』


何事にも探究心いっぱいのなまえにとって、これは興味の塊でしかない。


「なまえ、俺が教えてやろうか?」

『本当!?』

「それは駄目!絶対に駄目!」

『むぅ、じゃあ銀ちゃが教えてくれる?』


教えてくれると提案した沖田を拒否すれば、銀時は再びなまえから目を逸らした。

しかしなまえは瞳を必要以上にキラキラさせて銀時を見上げていた。


「あ、あんなことやこんなことっつーのは、」

『うんうん。』


「……なまえのケガの手当てしたりすること!」


『えぇっ!?』

「…は?」


銀時の答えに目を丸くする二人。


「い、痛いの嫌だろ?これ以上聞いたら今すぐ帰って包帯取り替えるからな!」


明らかに的外れな答えに盛大にため息をつく沖田。

そしてなまえは銀時の答えを聞いてブルブルと震えていた。


『……そういう、意味だったんだ。……それは、すごく嫌。』


悲しい顔で銀時を見れば、苦笑いでなまえを見ていた。




「お前、ケガしてんのか?」




突然その場にそぐわない緊迫した声を出したのは、今まで黙っていた土方だった。




 



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