わるものたいじ






今日は天気に恵まれて、最高の散歩日和。


万事屋に住み着いて数日、なまえは一人で散歩に出掛けるようになっていた。


いつものひなたぼっこに最適な公園の奥、いつものように足を運べばそこには知らない人が立っていた。

なまえが近付いたことに気付いた少年は、作業をする手を止めて振り返った。


『こ、こんにちは。』


「あんた、初めて見る顔だねィ。」


『えっと、はじめまして。』


とりあえず銀時に教え込まれた挨拶をこなすなまえ。

お昼にあった人には"こんにちは"

初めてあった人には"はじめまして"


「どーも。あ、丁度良いや。あんたこのタバコをマヨネーズまみれにするの手伝ってくだせェ。」


そう言われてテクテクと近付けば、目の前に広がる大量の白い箱。


『これはなに?』


そのうちの1つを拾い上げて男の人に首を傾げる。

見たことも無い箱、中を開けば見たことも無い白い棒。


「あんた、煙草知らねぇのか?」

『たばこ?』

「こりゃ、劇薬だ。…つまりは、悪者だ。」

『わるもの…。』


男の人がなまえの手からヒョイと煙草を取り出して、再び煙草の山の中に投げ捨てる。


確か、悪者は退治しなくちゃいけないと、夕方のテレビの人が言ってた様な気がする。


そして男の人に手渡された赤いキャップの業務用マヨネーズ。


隣を見れば遠慮無しに煙草にマヨネーズをかけていた。


とりあえず、なまえも握ってみる。



ブリブリ、ブッフォ…!



意外にも、凄く楽しい。

ありったけのマヨネーズを次から次へと握っていけば、いつのまにか終わっていた。

そして身体は見事に飛び散ったマヨまみれに。

鼻につくマヨ独特のツンとした匂いに次第になまえは気持ち悪くなっていってしまう。


うー…、あたま、くらくらする…。


揺れる脳内を頭を振ってハッキリさせる。

それと同時になまえはこの時、弱ったせいで耳と尻尾がはえてしまった。



「そういやあんた、この辺りのやつか?」


不意に振り返った男の人に、なまえはコクりと頷く。


「へェー…。で、この尻尾はプレイの一環か?もしくはあんた天人か?」


ビクッ!

『に"ゃッ!』


突然捕まれてた尻尾に、身体がビクついてしまう。

どうにも、尻尾を捕まれることは苦手だ。


『あまんと?違う、わたしはなまえ!』

「なまえ?あんたの名前か?」

『うん!なまえって呼ばれると、凄く嬉しい!』

不思議そうな顔をする男の人に目一杯笑えば、男の人も笑った。


「そうか、俺は、」

「総悟テメェェェェエエエ!!俺のタバコをマヨまみれにしてんじゃねェェェエエエ!!」

「やべ、じゃあまたな、なまえ。」



楽しそうにする彼に、コクリと頷けば、彼は物凄い早さでいなくなった。


そしてなまえの目の前を、物凄い勢いで怖そうな男の人が通り過ぎていった。




『…そーご?』




果してそれは、名前なのだろうか?







そういえば

プレイの一環ってなあに?





 



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