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『…飲んだの?』
「飲んだけど、言うほど飲んでねェよ。」
『…楽しかった?』
「は?」
そんなこと聞いて私は、なにがしたいんだろうか。
自分でも分からないけれどなんか本当に嫌な気分なのは確かだ。
目の前の晋助も不審に思ったのか、怪訝そうな顔で私を見てるのがわかる。
『遅くなるんだったら、一言くらい言ってよ。』
「…何だよ今更、いつもの事じゃねェか。」
確かに、今までだって何度でも遅くなっていた。
それに対して私も何も言ってなかった。
それを今更怒るなんて完全に私が間違えている。
『……。』
「何だよ。」
『…別に、何でもない。』
「言いてェ事あんならハッキリ言えよ。めんどくせェ女じゃあるめーしよ。」
……うわ、今のすっごい腹立つ。
誰が、めんどくさいって?
こんな事まで言われちゃ、私が馬鹿みたいじゃないか。
別に、晋助の為に待ってた訳じゃない。ただ、眠れなかったから起きてただけなんだけど。
それでも仮にも起きてた人にその言葉はあんまりじゃないか。
『……横暴、色魔、節操なし、分からず屋、我が儘、セクハラ、変態。』
「…あァ?殺されてぇーのかテメェは。」
『今言いたいこと言えって言ったのは晋助じゃん!ハゲ!』
「ハッ…!?」
あぁムカつく!
晋助に対してなのか、こんな子供な自分になのか分からないけどものすごくムカつく!
今にも殺して来そうな眼光で晋助が見てくるけど私だってここは負けてられない。
「テメェが言いたいのはそれだけか?」
『何よ、まだ何か言って欲しい訳?』
睨む晋助に私が食って掛かれば、晋助は私を見て更に眉間にシワを寄せた。
「…もう勝手にしろよ。」
それだけ吐き捨てると、晋助は怒った顔のまま出ていってしまった。
バタリと閉まってしまった扉は、いくら待っても開きそうにはなくて、
私はどうすることも出来なくて、うつむいた顔で足元を見るしか出来なかった。
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