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ただ、寂しかったのその一言なのに
私は少しも素直になれなくて
窓からみえる景色は昼間とは大違いで、真っ暗な空間。
空を見れば星ひとつ見えなくて、それがなんだか嫌になった。
不意に、見上げた時計。
AM4:00
私は時間を確認をして、大きくため息を吐いた。
遅い、なぁ…。
一時的とはいえ同じ部屋に住ませてくれている同居人は、こんな深夜になっても帰ってこない。
仕事が終わらないのか、はたまたいつもの綺麗なお姉さん方と遊んでいるのかは分からないけれど。
そして私はと言えば、数時間前に帰ってきてもう寝る準備も万端だったりする。
晋助なんか放っておいて先に寝ようと大きなふかふかベッドにもぐり込んだ。
はずなのに、
何故かどうにも寝れなくて。
落ち着かない、というかなんというか。
……たぶんもう少しで晋助が帰ってくるし、別に起きてても良いっか。
結局寝れそうにもなかったから、布団から出て温かいホットミルクでも飲もうとリビングに足を進めていた。
『……。』
あぁ、ホットミルクのみ終わっても寝れそうにないかも。
あと少しになったホットミルクをみて、少しだけ苦笑いに笑った。
どうにも私は、"誰かを待つ"というのが苦手らしい。
なんだかずっと落ち着かなくてソワソワとしてしまっている。
ガチャッ
『っ!』
不意に聞こえた音に、急いで向かった玄関。
『おかえりっ!』
帰ってきた晋助に声をかければ、晋助は私の姿を見て目を見開いていた。
「お前、まだ寝てなかったのか?」
『…うん。なんか寝れなくて、ね。』
晋助から上着を受け取り、そのままリビングへと足を運んだ。
『随分遅かったけど仕事だったの?』
「あァ。」
『……仕事、か。』
晋助から受け取ったスーツからは、少しだけ香水の匂いがした。
晋助のじゃない、女の人がつけるような甘い香水の匂い。
おおかた仕事として接待に行ったのか。
…別に、私がどうこう気にするわけじゃないんだけど、なんとなくこの匂いに触れたくなかった。
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