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『ほら!早くご飯食べるよ!』
そういって俺の背中を押した名前。
いつもの定位置に座れば、名前も同じように座った。
「いつもたいした材料使ってねェな。」
『いやいや、世間一般これが普通だからね。』
テーブルの上に並ぶのは、まさに庶民的な飯。
まぁ名前の作る飯は嫌いじゃねェけど。
『わがまま言わないの、そんなんじゃ大きくならないよ。』
「もうデカくなんねェよ。」
『あらあら、あんたってば態度ばっかり大きくなっちゃうんだから。』
「うるせぇな、テメェは俺の母ちゃんか。」
『いやいや、私の子はもっと可愛くて素直で愛嬌があって頑張り屋さんで心の優しい子の予定だから。』
「お前自分の子供どんだけ誉めんだよ。」
俺とこんな下らない会話をするのは、後にも先にもこいつ1人だけだろう。
こうしてなんとも下らない会話をしながらも飯を完食すれば、後は二人それぞれに行動していた。
名前は後片付けで皿洗いだったり、俺はなんとなくテレビを見ていたり。
「……。」
俺はテレビから視線をはずしてなんとなく名前の姿を見ていた。
本当、よく動くやつだ。
食ったあとくらい大人しくしてれば良いものの、片付けだの皿洗いだのって。
名前の働きぶりをみてるとこっちまで疲れそうになるくらいだ。
「なァ。」
『んー?どうしたの?』
よく動くのも良い事だが、たまには息抜きも必要なんじゃねェか?
「こっちこいよ。」
『………な、なんで?』
突然俺が呼んだことが余程不審なのか、名前はこちらを向いたまま動かない。
「3秒以内に来ねェなら今すぐ犯してやる。」
『……は?』
「3」
『いやいや…、』
「2」
『ちょっと…!』
「い、」
『だぁぁあ!分かった!分かったからちょっと黙って!空気読んで!』
名前はものすごいスピードで俺の近くにやってきた。
……最初から大人しく黙って言うこと聞いてりゃいいのに。
『な、なんでしょうか?』
「……ちょっと待ってろ。」
名前が座ったのを確認して、俺が向かったのはキッチンの冷蔵庫。
そして手に取ったのは綺麗にデコレーションされたケーキ。
小さなお皿の上に取り出して、そのまま名前の前に置いた。
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