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『あの…俺ん家って言うのは…』



坂田さんのビックリ提案に頭がうまく回らない。



「え?俺ん家って言えば万事屋でしょ?」



自分の家なのに何故疑問形?


あ、そういえば坂田さんって万事屋って職業だったよね


『いえ、遠慮しときます』



とりあえず、坂田さんのおうちに行っても悪い予感しかしないから断っておくことにしよう。



「…うん、じゃあ行こっか」


『あれ?私の話聞いてました?』



今絶対聞いてたよね!?っていうか坂田さん一瞬止まってたし!



「あ!そうだ!」


『な、なんですか?』



早く家に帰ろうと私が1歩引き下がった途端に坂田さんが何かを思い出したように叫ぶ。


なんか、坂田さんのニヤついた顔を見てたら更にとっても悪い予感がしてきましたよ…



「名前ちゃんさァ、約束覚えてる?」


『約束?』



そう言いながら下がった分だけまた私に一歩詰め寄る坂田さん。


ち、近い…


っていうか私坂田さんと何か約束なんてしてたっけ?



「したでしょっ!!退院の時!!」



退院の時って…



『もう!一つだけなんでも言うこと聞くからお願いだから退院してください!!!』




もしかして、アレ…?



『ちょっ…!あれは坂田さんが勝手に、』


「いやいやいや、言い出しっぺは名前ちゃんだからね?」



やばい、やばすぎる。


なんて事を口走ってしまったんだこの間のバカ私!!


『すいません、あれは無かった事に…』


「なるわけないでしょォが、こんなオイシイ約束。」


『…ですよねぇ。』



もう坂田さんのニヤリ顔が憎過ぎる。どうしてやろうかこの天然パーマ。



「って事で行くか!」


『うわっ!』


不意に身体を持ち上げられて坂田さんの肩に担がれる形になる。


「銀さん積極的な女嫌いだけど聞き分け悪い女も好きじゃないのよ?」


『なっ…!知りませんよそんな事!離してください!』



そんな坂田さんのタイプなんて聞いてないですから!


っていうかむしろ好きじゃないなら離れてください!!


坂田さんの上で暴れてみるものの、宙に浮いた身体ではうまく力が入らない。


というか坂田さんの押さえ付ける力が半端じゃない。

『離してください!!降ろしてください!!』


「名前ちゃん軽すぎ。もっと食った方がいーよ。」


『私の話を聞いてくださいィィィイイイ!!』



私が人目を気にせず叫んでるにも関わらず坂田さんは涼しい顔で歩き出す。






ゆーかい事件!


いつもより高い視界でも

不安じゃないのはあなただから?






「思った通り、名前ちゃんの身体って柔らけェのな」


『ぎゃ!どさくさに紛れて私の身体まさぐらないで下さい!変態!』


「うん、この辺りとか超きもちー」


『んあっ…、』


「……」


『今のは違っ…!!』


「もしかして名前ちゃん感じちゃったの?」


(絶対分かってやってるクセに…!!)


『感じてなんかいません!!坂田さんのばか!もういい加減離してェェェエエエ!!』


「はいはい、危ないから大人しくしててねー」




そして落ち込む私を余所に足は坂田さんのおうちの"万事屋"へと向かっていた。




 


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