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坂田さんが退院してから一週間。


私には求めていた平穏な日々が戻ってきた。



「名前ちゃん!今日もお注射泣かなかったんだよ!」


『そっかぁ!ちぃちゃんは強いんだねっ!』



採血が終わって病室に戻ってきたちぃちゃんが私に飛び付いて来る。


少しよろめきながら優しく頭を撫でてあげる。



少し前まで坂田さんに付きっ切りだったので子供達に構ってあげるのも本当に久しぶり。


やっぱり子供は可愛いなぁ…





「そういえば、銀色のお兄ちゃんは?」

『ん?』


ふとちぃちゃんが私を見上げてそう言った。



あれ?ちぃちゃんは坂田さんを知ってるのかな?



「ちぃちゃんは銀色のお兄ちゃんを知ってるの?」


屈みながら問い掛ければちぃちゃんはニンマリと笑った。


「うん!お兄ちゃんと最近ずっと一緒にいたの知ってるよ!名前ちゃんすごく楽しそうだった!」


『えぇ?本当?』


楽しそうっていうか…

たぶんそれ一生懸命だったんだと思うんですけど…


『お兄ちゃんはね、元気になったからおうちに帰ったんだよ。』


「良かった!わたしね、」

『ん?どうしたの?』


クイクイと服の裾を掴んでちぃちゃんが私を見上げた。



「楽しそうな名前ちゃんに負けないようにわたしも頑張ろうって思ったの!だから、お注射もお薬も我慢したんだよ!」


『ちぃちゃん…』



そうか、最近泣かないと思っていたけど、そんなことを考えていたのか。


ちぃちゃんの言葉が嬉しくて、少しだけ涙が出そうになった。




 


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