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『さようなら坂田さん。』
「ちょ…!待っ…!」
『もう!まだ何かあるんですか?』
あれ?冒頭文でなにか勘違いしちゃいました?
いや、違うんです。
今日は怪我の完治した坂田さんの退院の日なんですけど…
なぜか坂田さんは退院をすごく嫌がっている。
婦長の話では坂田さん入院が嫌いだから退院は飛び上がって喜ぶって聞いてたんだけどなぁ。
なのに前々から退院の日は今日と伝えていたはずなのに坂田さんは何一つ準備をしていなかったし。
仕方なく私も準備を手伝ってなんとか終わったんです。
そして嫌がる坂田さんを無理矢理玄関前まで連れてきて、さぁ退院!って時に坂田さんは「怪我まだ治ってない」とか「腹が痛い」とかなにかと言い訳をして居座ろうとする。
『じゃあお元気で。』
「あれ?なんか銀さんに冷たくない名前ちゃん。」
『退院したくないなんて言う人には優しくなんてしません!』
そもそも、
坂田さんは手がかかりすぎるんだよ!
あのトイレ事件の日から坂田さんは絶対一人でトイレに行きたくないって毎回毎回ナースコール押してくるから面倒だし、
糖尿病寸前だからって糖分を禁止すれば私に隠れて勝手に食べちゃうし!
むしろ私のデザート勝手に食べちゃうし!
あげくの果てにはご家族や友人がお見舞いに来れば必ずと言って良い程病室は大荒れになるし。
とにかく、
お前は子供か!ってツッコミたくなるような行動ばっかりするから坂田さんには困っちゃう。
おかげで私"小児科医担当"のはずなのに今じゃ院内では"坂田さん担当"になってしまった。
ああああ、
坂田さんより可愛いげがあって坂田さんより大人しい子供達に会いたい!!!!
「あれ?今名前ちゃんの心の声が聞こえたような気がしたんですけど。」
『え?気のせいじゃないですか?とにかく!坂田さんは今日退院ですからね!』
「やだ。」
『ヤダじゃないです!』
もう!どうしてこうも聞き分けが悪いのよ!
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