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生暖かい春風にひらひらとなびく白いカーテン。
「あァァア!!…ヒマなんですけどォォオ!!」
俺は昨日、結局病院からの逃走に失敗した。
あのババァ丁度良いタイミングで現れやがって。
本当だったら今頃は家でゴロゴロしながらジャンプでも読んでる筈なのによォ。
ふと隣を見れば生クリームプリンの空の容器。
『退院お祝いって事でどうぞっ!』
あー、
なんだこれ。
なんかあのナースが頭から離れないんですけどォ。
あれ?
そういえば、俺この病院に結構来てるけどあのナースの姉ちゃんに会ったことねぇなァ…
確か"苗字"って言ってた気が…
「っ!…良い事思い付いたっと!」
俺はムクリと起き上がってある人の元へ歩き出した。
─ガラッ
"院長室"
そう書かれた扉を開ければ部屋の中には院長と呼ばれるハゲたおっさんが一人。
数年前、院長が万事屋に依頼してからこのおっさんとは仲が良くなった。
「よォ、おっさん!」
「おぉ坂田さん!どうしたんですか?」
「あのさ!ちょぉぉっと頼まれてくんねェかなァ?」
おっさんに近づいて俺はニヤリと笑った。
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