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「これでよし…と。」

『ちぃちゃん、お注射されても泣かないなんて偉いね!』

「うんっ!先生、名前ちゃんありがとっ!」


いつも注射で泣いてしまう入院中の"ちぃちゃん"の頭を撫でてあげて私は笑った。



ここは大江戸病院。


新人看護師で小児科担当の私は担当医と一緒に入院中の子供に診察をしていた。


診察が終わって廊下に出れば患者さん達がちらほらと歩いている。


「フフ、すっかり子供達と仲良しだね。」

『はいっ!もうみんな可愛くてしょうがないです!』

「本当に子供が大好きなんだね。あ、もう休憩時間だから苗字さんはお昼取っていいよ。」


ふと時刻を見れば時計の針は真上を指している。


『そういえばもうこんな時間!ありがとうございます!それじゃあ失礼しますねっ!』




何か食べさせろと主張するように鳴り出すお腹を軽く押さえながら私は"いつもの場所"まで歩く。



しばらく歩くとついたのはいつもお昼にはここで過ごすくらいお気に入りの中庭。


サワサワと春風が中庭の木々の葉を揺らす。



『んーっ!気持ち良い風。』


一つ深呼吸をしてから私は中庭のベンチに座ってご飯を広げた。


今日のお昼は購買のサンドイッチといちごみるく、それからデザートに生クリームプリン。


ここの病院のサンドイッチはすごく美味しいの!


『いただきまぁす!』


大きな口を開けてサンドイッチを頬張れば美味しさが口の中に広がる。



─ガサガサッ


「ったく痛ェよ!怪我人をいたわる気持ちを知らないのかあいつらは!」



草の茂みからガサガサと音がすればそこから頭に包帯を巻いた男の人が出てきた。





 


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