３
『……このくらい大丈夫です！』
少し休ませてもらったから今度はきっと倒れたりなんかしない。
と、思っているのに坂田さんは一向に手を離してくれる気配がない。
『坂田さん？』
「もっと頼れよ。」
『……え？』
「辛いんだったら、頼ってくれて構わねぇから。一人で無理すんなよ。」
本当に、いつもとは想像のつかないくらい真面目な顔で言うから、私は何も言い返すことができない。
そして坂田さんは黙っていた私の腕を引いて抱き締めてきた。
突然の行為に驚いて、でもそれ以上に私の胸がうるさく高鳴っている。
「お前が思ってる以上に、俺は名前が大事なんだよ。」
耳元で聞こえる坂田さんの声が、やけに頭の中に響く。
胸がドキドキとうるさいくらいに反応している。
私、坂田さんに大事と言われたことが、嬉しい、かもしれない……
「俺、出会った時から名前の事が……」
坂田さんの吐息を感じる耳が熱くて
坂田さんが触れた肌が熱くて
全部、何も考えられないくらいに、熱い………
「ってちょっ…！名前ちゃん！？今大事なとこなんだけど！！名前ちゃーん！？」
全部全部、意識を失うには充分過ぎる刺激だった。
体温上昇にご注意
熱？勘違い？
………好き？
＜
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