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『んっ……』



目を覚ませば、目の前には見知らぬ天井が広がっていた。



「気ィついたか?」



声が聞こえて顔を向ければ、そこには心配そうに私を覗き込む坂田さんの姿。



………なんで、坂田さん?



「急に倒れたからビックリしただろォが。」



……あぁそっか、私倒れたんだ。


無言のまま意識を失う前を思い返してみれば、確かに私は坂田さんの目の前で記憶が途切れている。



『お、』

「お?」

『重かったですよね?』

「起きた第一声がそれかよ!」


いや、だって気になっちゃうじゃないですか。一応女だし。


「重くなかったから大丈夫だから。」


私がジッと坂田さんを見ていれば、坂田さんはやれやれと言った表情で私の頭を撫でた。


お、重くなかったなら良かった…!


『…ところで、ここは坂田さんのおうちですか?』


改めて周りを見渡してみれば、見たことがあるような気がしなくもない。


「俺んち。ちなみにその布団は銀さんが日頃から愛用してるやつね。」

『確かに、なんか臭うと思ってたんですよね。』

「うっそマジで!?名前寝かせる前に確認したんですけど!」

『……嘘に決まってるじゃないですか。』


むしろそんな臭いがしても言うわけないじゃないですか。


いや、実際臭いなんてしないですけどね。



というか、坂田さんは私が目を冷ますまでずっと隣にいてくれたんだろうか。



『……本当に、申し訳ないです。』



結局坂田さんに迷惑をかけてしまった。


……なんか、ダメだなぁ、私。


こんな迷惑もかけてるのに意地なんて張ってる場合じゃないし、ここは素直に病院に行こう。


少しずつ休んでいけば倒れることももうないだろうし。


『…休ませてくれて、ありがとうございました。』


病院に行くために未だ熱い体で立ち上がろうとした、のに



『……坂田さん?』



坂田さんは私の腕をつかんできた。


声をかけてもどうやら離してくれる気はないようで、私を見たまま動かない。


一体どうしたんだろう。


『坂田さ、』

「どこ行くつもり?」

『…病院に行こうかと…。』

「そんなフラフラなのに?」



確かに、起き上がるのでさえつらいんだけど。


だけど坂田さんにこれ以上迷惑はかけられない。





 


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