『いえ、遠慮しときます。』

「なんで!?」

『だって食費が大変じゃないですか。』


坂田さん入院中に「我が家には胃拡張娘がいるから食費が死ぬほど大変なのよ。」って言ってたし。


「や、そこにあるから大丈夫。」

『は?』


心配する私を余所に坂田さんが指さしたのは、先程買ったばかりの食材がたんまり入った私の持っている袋。


『え、これ?』

「うん。いっぱいあるから大丈夫。」


うん、何度も言うようだけどこれ私のだからね。


「一緒に食べよ?」


まるで犬のように首を傾げる坂田さんに、何も言い返せない。

ず、ずるい。

こんなときだけ甘え上手になるなんてズル過ぎるぞ坂田さん。


『わ、分かりました。』


私が頷けば万事屋ファミリーは盛大に喜んだ。

本当の事言えば一人暮らしでいつもご飯独りで寂しかったから今日ぐらいはいっか!


『仕方ないなぁ、もう。』


いつもより機嫌がよかったのは、きっと気のせいだ。











結局、そのままご飯の準備を初めてあっという間にご飯完成。


『人に作るなんて中々ないから緊張するなぁ。どう?おいし?』


料理出来ない訳じゃないけど、自分のために作るのと誰かに作るのじゃ訳が違う。

食べ始めたみんなに不安気に聞けば、みんな口々においしいと褒めてくれた。


「すごくおいしいですよ名前さん!これ作り方教えて下さい!」

「名前良い嫁になるアル!」


隣の坂田さんを見れば、神楽ちゃんと争うくらいに人一倍ガツガツと食べていた。

よ、良かったー。とりあえずまずくはなかったみたいだ。





「「「ごちそうさまでした!」」」


びっくりするくらいの量をびっくりするくらいキレイに食べてくれたみんな。


今日買った食材はすっからかんになっちゃったけど、それ以上に気持ちは満足してたりする。

誰かに食べてもらえるって、思った以上に嬉しいなぁ。


「名前!」


洗い物も終わったので帰ろうかと思った時に、神楽ちゃんが私の名前を呼んだ。

それと同時に全員が神楽ちゃんを見た。


『ん?どうしたの、神楽ちゃん。』


「名前!嫁に来るアル!」



ブフゥーッ!!

食後のお茶を啜っていた坂田さん、新八君の2名が勢いよくお茶を吹き出した。

当の私は唖然顔。




 


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