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『あの、すいませ…ってあぁ!』
目の前のベットに座る彼は
あの時の甘党の彼。
「おぉ、名前ちゃん!」
『"坂田さん"ってあなたの事だったんですねっ。』
それは分からない訳だよね。
だって私、この人の名前知らなかったんだもん。
「誰アルカ?」
ふと隣を見ると蒼い瞳の小さな女の子。
か、可愛いっ…!!
坂田さんのご家族かな?
『始めましてっ!私は今日から坂田さんの担当看護師をさせていただきます、苗字名前と申します。』
「あれ?担当は婦長のクソババァじゃないアルカ?」
『婦長から引き継いだので、今日からは私になります。よろしくお願いしますね!』
「やったぁぁぁあ!!やっとあのクソババァから解放されたアル!!名前がいるなら私も入院するヨ!」
「ってなんでテメェが喜んでるんだよ!いい加減帰れ!」
また騒ぎ出す病室。
だから、静かにしなくちゃダメだってば。
「あの、名前さん。」
『あ、はい!』
私を呼んだのは眼鏡の少年。
「騒がしくてすみません。あの、あの人だらしなくてどうしようもない人ですが、退院までどうかよろしくお願いしますね。」
そう言って眼鏡の少年は小さく微笑んだ。
『は、はいっ!』
新人な私だけど精一杯頑張ろうと思った。
坂田さんの事はまだまだよく分からないけれど、こんなに優しく見守られている彼はきっといろんな人に愛されてるんだ。
「それじゃ、いつまでもいちゃ迷惑なんで僕達はそろそろ帰りますね。ほら行くよ神楽ちゃん。」
「おー帰れ帰れ。」
「イヤァァア!離せ新八!私も入院するヨォォォオ…!!」
神楽ちゃんと呼ばれたチャイナ風少女は眼鏡の少年にズルズルと引きずられて病室から出て行った。
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