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『いや、知らないですけど…。』

「えぇ?坂田さんは苗字さんの事知ってるのになぁ。」


そんなこと言われても知らないもんは知らないんです。


『で、その人が何か?』

「うん!苗字さんやったね!坂田さんからご指名入りましたァッ!」

『…は?』


全然意味わかんないんですけど。


「てなわけでよろしくねっ!」


ウキウキ感満載な院長に少しだけイラッと来る。


『いやいやいやいや!!おっしゃる意味がよく分からないのですが…』

「だからね、苗字さんは坂田さんのご指名なの!だから坂田さんが退院するまでのお世話係ね。」


何!?お世話係って!!

しかもご指名ってここキャバクラじゃなくて病院なんですけどォォオ!!



「お願いっ!」



寒そうな頭を私に向けてお願いをする院長。

いっそこのまますべてをむしり取ってやりたいくらいだよ。







『…分かりました。引き受けます。』



はぁ…

仕方ない。

院長にはお世話になってるし恩返しのつもりでね、

ここは引き受けよう。


それに新人のうちにたくさん苦労しておかないとね。


「ありがとう苗字さん!じゃ、今日からよろしくね。」

『分かりました。』

「そう!じゃあいってらっしゃい!」





嬉しそうな院長に部屋から追い出された。


…仕方ない。


頑張るよ!頑張ってやるよ!



そして私はまた勤務に戻った。


そういえば、



坂田さんってどんな人なんだろう?



ご指名です!


ただもう一度逢いたくて

君の笑顔が忘れられなくて






 


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