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「ふぅ、やっと寝付いたぁ。」


さっきまで騒いでいた子供達をなんとか寝付かせた。

子供を寝かしつけるのは新人看護師の仕事の一つ。


本当、入院患者だなんて嘘みたいに暴れ回るんだから。


さすが遊び盛りの子供というか。



「あ、いたいた。苗字さん!」


『あっ!婦長!』


呼ばれた先には婦長がいた。


『どうしたんですか?』

「苗字さん、院長からお呼び出しがかかってるわよ?」



医院長が?


なんで私を?


「何かやらかしちゃったの?」

『いやいや!身に覚えがありませんっ!…たぶん。』

「たぶんって…」



でも本当に身に覚えがないんだよなぁ…



「とりあえず、院長室にいってらっしゃい。」

『はい…。』



病室から廊下に出て重い足取りで院長室に向かう。








『し、失礼します!』


たどり着いた院長室に緊張しながら入る。


あぁ、いつ来ても慣れないなぁこの部屋。


「苗字さん、勤務中に申し訳ないね。」


振り返ったのは頭が少しだけ寒そうな院長。


優しくて気さくな院長にはこの病院で勤務を始めてからお世話になりっぱなし。

そんな院長とは院内のどこかで偶然会えば全然緊張なんてしないのに何故かこの部屋で会う時だけは緊張しちゃって今だに慣れない。


っていうかこの部屋のこの堅苦しい感じが苦手。



『あの…』

「あ!そうそう!苗字さんに特命あげちゃう!」


『…は?』


ニコニコとしながら訳の分からん事を言い出す院長。


「坂田さんって知ってるでしょ?」


『…アホの?』


「確かにアホだけど…。でも違うからね!そっちの坂田じゃなくて万事屋の坂田さん!」

『万事屋の坂田さん?』


私の脳内メモリーで"坂田さん"を検索したけど見付からない。


むしろ万事屋って何?


そんな職業聞いたことないんだけど…




 


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