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茂みに身を潜めてから数分、顔をあげれば視界には春風に揺らされる木々の葉。


「おォ、良い風。」



耳を済ませば静かな風が吹くだけで俺を呼ぶ声は聞こえなくなった。



よし!そろそろ行くか!




─グキッ




「ったく痛ェよ!怪我人をいたわる気持ちを知らないのかあいつらは!」


立ち上がったら神楽に蹴られた腰が悲鳴をあげた。



よろめく身体を両足で踏ん張って茂みの外へ出た。


痛ェ、痛ェよマジで。


でも、姿を表しても誰にも追われない。


つーことは、



「ま、これでやっと撒いたぜ。」


さすが俺!

あー走り過ぎたら喉渇いた。

腹も減ったし。





ふと前を見ればいちごみるくを手に持ったナースと目が合った。



あ、


「いちごみるく。」

『へ!?』


俺が呟くとナースは慌てていちごみるくと俺を交互に見る。


…変な奴。



とりあえず俺は疲れてるわ痛むわな身体を引きずってナースの隣に座った。


『い、いちごみるく好きなんですか?』


そりゃいちごみるく好きでしョ!嫌いな奴なんていないから!!



『良かったら飲みますか?私まだ口つけてないんですよ』


「マジでェ!お姉さんありがとう!!」


なにこの人!超いい人!


ふと手元をみれば視界には袋に入った"生クリームプリン"。


あれ超うめェんだよ。いやマジで!

つーかいちごみるくに生クリームプリンって…



「お姉さん甘党なの?」

『はい!…って何で分かったんですか?』

「それが見えたから。」


俺の視線を辿って見付けた生クリームプリン。


「俺も甘党なのよ。」


いちごみるくもそのプリンも大の好物だからね。


『意外!』

「糖分とらないと生きていけないからねェ。」


『ふふっ、お兄さん変わってますね!』


そうか?

俺からすれば出会ったばっかの他人にいちごみるくあげちゃうお姉さんの方が変わってるけどね。



まぁ、そこが俺的に気に入ったんだけど。




 


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