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「ま、これでやっと撒いたぜ。」
独り言を言いながら歩き出す男の人。
ふと私と目が合う。
え!?
何!?
あの人めっちゃガン見してくるんですけどォォ!
何故か目を離さない彼。
「いちごみるく。」
『へ!?』
彼は私の持つ飲み物を見て"いちごみるく"と呟いた。
まさにこれいちごみるくだけどこれが何かあるのかな?
すると彼は私の座るベンチに腰掛けた。
『い、いちごみるく好きなんですか?』
彼はコクリと頷く。
『よかったら飲みますか?私まだ口つけてないですよ。』
「マジでェ!?お姉さんありがとう!!」
いちごみるくを差し出すと彼は嬉しそうに受け取った。
「お姉さん甘党なの?」
『はい!…って何で分かったんですか?』
「それが見えたから。」
彼の視線の先には生クリームプリン。
そうだよね。
いちごみるく飲みながら生クリームプリン食べるなんて甘党しかいないよね。
「俺も甘党なのよ。」
『意外!』
「糖分とらないと生きていけないからねェ。」
『ふふっ、お兄さん変わってますね!』
なんか、
見た目は男らしいのになんだか可愛い人だな。
『そういえば入院中の方ですか?』
「うん。あ?いやいや、今日で退院の予定です。」
予定?ってことは彼の怪我はもう治りかけなんだ。
『それはおめでとうございます!』
「いたいた!苗字さん!」
お祝いの言葉をかけたと同時に私を呼ぶ声がした。
声の元をたどると婦長さんが走ってきた。
「ちぃちゃんがぐずって苗字さんに会いたいって泣き出したからすぐ行ってあげてくれる?」
ちぃちゃんが泣き出すのはよくあること。
原因はお注射が痛かったとか、ママに会いたいとか。
『分かりました!すぐ行きますね!』
なんにしろ早く行ってあげなくちゃ!
『あ、お兄さん。』
「ん?」
彼を見ればいちごみるくのストローをくわえていた。
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