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「─クソッ!」
苛立ちが抑え切れずに隣の壁を思い切り殴る。
名前が目を覚ましたあの日の夜、名前は突然姿を消した。
それから俺は名前を探すが一向に見付からない。
思い当たる場所には全て向かったが、あいつはいなかった。
あの傷で外に出てもそう遠くには行けないはずなんだ。
…どうして、あいつは何も言わずにいなくなった?
焦りを抑えて歩き出す。
名前と一緒に行った河原にたどり着き流れていく川を見つめた。
なァ、名前。
今お前はどこにいる?
どこにいて、何を思う?
そんな怪我をして、なにがあったんだ?
頭の中で何度考えてもその答えは帰ってこなかった。
他を当たろうと、振り返り歩き出せば前からガラの悪い男達が歩いてきた。
「…マジッ?死ぬくらいならやっぱりあの時無理矢理ヤっときゃ良かったなぁー!」
「バッカお前!まだ死んでねぇよ!入院してんだってよ!」
「素直に大人しくしてりゃ怪我しねぇで済んだのにな。」
大笑いで向かって来る男達。
こっちは人探しで苛立ってんのにくだらねェ話してんじゃねぇよ。
男達の隣を通り過ぎた瞬間。
「誰とヤってもかわらねぇくせに本気で抵抗しやがって。あの[名前]も馬鹿な女だよ!』」
は?
名前だって?
「おい。」
「ん?何よお兄さん。」
「テメェ今なんつった?」
「はぁ?あ、何?お兄さん名前のお客さん?あいつもう使えないよ?」
「…テメェらあいつに何かしたのか?」
こいつらは何か知っている。
絶対ェ、
聞き出してやる。
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