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こんな私は、高杉さんの傍にいられない。



私は高杉さんの横を通り過ぎて出口へと向かった。



「おい、」



引き止めた彼に私は振り返った。



『私、こんな世界なんてなくなってしまえばいいって思ってた。』




高杉さんに会う前の私はなんて喜びもなくて、こんな世界に生きてる事さえ苦痛だった。



そんな時、あなたに出逢って、初めて鎖で繋がれたあの暗い場所から抜け出せたの。



遊郭に入る前の記憶なんてないに等しい私にとっては何もかもが新鮮で、何もかもが新しかった。



『あなたが私を拾ってくれたこと、すごく嬉しかった。』



本当にありがとうございました。



そして、



信じきれなくてごめんなさい。



私が高杉さんを信じていればきっとこうはならなかった。


本当に、ごめんなさい。




少しの間だったけど傍にいれて私は幸せでした。






今だにポロポロと流れる涙は止まらないけれど最後に一度、私は笑った。



今までで1番悲しくて、今までで1番の本当の笑顔。




『高杉さん、さよなら。』


この扉から出たらもう最後。


ちゃんと私は彼の目の前からいなくなるから。



さようなら。






グイッ


『っ!!』




扉に手をかけた瞬間、突然後ろから腕を引かれれば私は高杉さんの温もりに包まれていた。










 



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