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私は切り付けられた左肩を庇いながらナイフを強く持ち直してその場から立ち上がる。
「名前。」
『っ!触らないでくださいっ!!』
傷口に気付いた高杉さんが私に近寄ろうとしたけれど私はそれを拒んだ。
そんな私を見て高杉さんは驚いているようだった。
高杉さん、ごめんなさい。
高杉さんは、こんな私を触ってはいけない。
こんな、汚れた私。
『私…今血まみれですから、高杉さんの着物に移ってしまいます。』
私の身体は血に染まっていて、高杉さんの綺麗な着物には移してはいけない。
『それに私、せっかく洗ってもらったのに、汚れ…ちゃったん、です。』
もう、キレイじゃないんです。
堪え切れずに溢れ出した涙はあたしの足元にポツポツと跡を残した。
高杉さんに申し訳なくて
何もかも嫌になって
胸が痛くて、痛くて
どうしようもなくて泣いた。
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