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違う

違う



お母さんは殺してなんていない。





幼いあたしはあの日家族3人で家にいた。


その時は本当に幸せな時間が流れていて、このままずっと続くと思っていたんだ。


物音と共に凄い勢いで家に乗り込んできた女の人。

手には刃物。

「どうして私の気持ちが解らないの?こんな女より私の方が!」

そう言って目掛けた先にはお母さんがいて、それを庇うようにお父さんが刺された。


幼い私には何が起こってるかなんて解らなくてただただ血が溢れていくお父さんを見て唖然としていた。


そして気づけばお母さんの首元が切られてて壁一面血だらけの部屋。


ただ耳には楽しそうに笑う女の人の声が響いていた。

しばらくして動かなくなった両親を見て初めて死んだことを実感した。



気付いたときには私が女の人に馬乗りになって刃物を何度も何度も突き刺していた。


それが事件の真相。


幼かった私はまさか人殺しなんて思われずに気づけば『人殺しの子』と呼ばれていた。












「本当、親も子も汚いわ。」

レイラさんの声が聞こえてハッとすれば今だに自分の体が震えている。


「私が調べてこんなに出るんだから高杉さんは隅々まで知ってるんでしょうね。」


その言葉に私は初めて気がついた。


「お前も、すべてを壊してきたんだな。」


高杉さんが私を拾ってくれた日に言った言葉。


高杉さんは最初から知っていたんだ。


もしかしたら私が殺したことも知ってるかもしれない。









 



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