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情事が終わり、衣服を着れば高杉さんは窓際でタバコをふかしていた。
外を眺める高杉さんの瞳には雨の降る空が映っていた。
「なぁ…お前はこの世の中に何を思う?」
高杉は振り返って私にそう聞いた。
何を思う?
『何も思わないです。』
私を見つめたままの高杉さん。
この何もない世界に私が望むものは…
『ただ一つ思うなら
こんな世界なんて壊れてしまえばいい。』
そう言えば高杉さんは少し間を開けてククッと笑った。
私は私のすべてを捨てた。
こんな私に望むものなんてない。
「…お前はやっぱり、他の女とは違うな。」
高杉さんは立ち上がり出口に向かって行った。
「その言葉。後悔するなよ。」
大金を置いた机を見て再度扉を見れば彼はもういなかった。
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