『飲み過ぎないように気をつけてね!』


辺りが華やかになる夜のかぶき町。


そんな街にこれから飲みに行くと言う銀ちゃんに私は神楽ちゃんと一緒に手をふった。


「金無いくせに飲んでんじゃねーヨ。」

「うるせー。大人には付き合いっつーのが存在すんのよ。」

「あー、たまには腹一杯食べたいアル。」

「テメェは充分食ってんだろ!」

『お、落ち着いて二人とも!でも本当、金欠なんだから悪酔いしてお店の物壊すのだけはやめてよね!』


本当銀ちゃんは悪酔いすると手つけられないんだから!


今月の家賃だってまだ払えてないんだから今は本当に気をつけてほしい。


ピシッと銀ちゃんに言えば、いつものように頭をボリボリかきながら私を見た。


「わーってるって!そんなに心配なら名前も一緒に来るか?」

『……いや、銀ちゃんを信じて神楽ちゃんと大人しく待ってますよ。』


飲み会についていくなんてそんなヤボな事はしない。


男同士でしかできない話だってあるだろうし、それに……女の人がいたら嫌だもん。


まぁ、その、……あれだ。


つまりは私は銀ちゃんが好きな訳で。


万事屋の仲間としてやっていくうちに、いつの間にか私は銀ちゃんに惹かれていた。


そんな気持ちを悟られないように、私は銀ちゃんと付かず離れずの適当な距離を保っている。


「名前ちゃんはつれねーなァ。じゃあ行ってくるからな。」

『うん、いってらっしゃい。』


こうして頭を撫でてくれる事も、本当は嬉しくて堪らない。


だけど、それ以上に寂しい気持ちが溢れだしてくる。


銀ちゃんが出ていって背中が見えなくなっても私は動けずにいた。



……いつか、"恋愛"が"家族愛"に変わる日がくるんだろうか。


最近じゃ、目を合わせれば寂しさを悟られちゃうんじゃないかって不安で、


銀ちゃんに向かってうまく笑えずにいる。



「名前?どうしたの?」

『ううん、何でもないよ。それじゃあ私たちは寝よっか!』


私の様子に不審に思った神楽ちゃんを心配させないように、私は明るく振り返った。


 

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