ピンポーン




ある休日の夕刻時。

家事も一通り終わり夕食を作っていたときに、不意にインターホンが鳴り響く。




『はーい。』


ガチャ


「どうもー、万事屋です。」


『………。』



とりあえず、扉を閉めてみた。












あれ?なんで万事屋さん?


玄関の外から「スルーですか?ちょっと、そういう反応はガラスのハートの銀さんにはつらいんですけど。」とか聞こえて来る。


あ、何か用事があるっぽいのに閉めたら失礼だよね。


ガチャ


『す、すいません。何かご用ですか?』


「え?さっき電話くれた人ですよね?」


『…え?』



わたし電話なんてしてないですけど…。


『あの、人違い、なんじゃ…?私はお電話してないので…。す、すいません。』


いや、この場合は人違いならぬ家違いか。

ポカンと口を開けて不思議そうにする万事屋さんをみて思わず謝ってしまう。




「…じゃあ、ここでいいや。」


『へ?』


「なんか、困ってることない?万事屋がなぁーんでも解決しますよ?」


『はぁ。』


切り返しが早いというか、何と言うか。


っていうか、もともとの依頼人は放っておいて大丈夫なのだろうか…?



「なんか!ないの!?」


『えぇ!?…っと、あ!電球!』


「電球?」


『はいっ!電球が切れてしまってたんで取り替えて頂けたら嬉しいなぁ…なんて。はは…。』


我ながらなんともくだらない依頼。

だって万事屋さんが急かすからそれしか思い付かなくて…



「よしきた!ちゃちゃっと取り替えてやんよ!」


『ありがとうございます!』


そういって万事屋さんは我が家に足を踏み入れた。













「ここ?」


『はい、私じゃ届かなくて…。お願いします。』


「おー。」



脚立に乗った万事屋さんに予備の電球を渡す。


不意に手が触れ合ってしまい思わず引いてしまう。



どうしよう、どうしよう。


実は、わたしは万事屋さんをよく知っていたりする。


一年前、わたしがかぶき町に上京したばかりの頃、散歩と称してかぶき町探検をしているときに万事屋さんに出会った。


"万事屋銀ちゃん"とかいてある建物の前でチャイナ服の女の子と万事屋さんがじゃれている姿を見て、不覚にもときめいてしまったのが始まりだったりする。


若いのに子供がいるなんて大変だなぁ、とか大きな犬を一生懸命散歩していて愛犬家なんだなぁとか。


気付けば知れば知るほどに万事屋さんに惹かれてた。


 

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